なんなんだよなんなんだよなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
頭の中でな、ん、だ、よ、で、という言葉が駆け巡る。
それは時に先端が尖って尖って尖って痛くて血が出そうなくらいの、裁縫の授業で使ったあの針みたいに。
長針か短針なんかどうでもいい。
どうせ僕は不器用である。
どうせまた指に刺さる。
なんの音も立てずただゆっくりと。
何が起こったのか分からないくらい。
そして体全体に疼きを覚えるような震えるような感覚。
今僕は血を、出した。
血を、流した。
血を。
だんだん沢山溢れ出てくる。
あと数秒程度で表面張力してしまうだろう。
なんだか心を奪われるように
血がある。
そんな感覚だ。
お前はなんなんだよ
僕はだから僕だ
僕って誰だよ
え…
僕は…僕はぁ…
分からないわからないわからないわからない
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!