あの日、目が覚めれば心配そうに私を見つめる壱馬くん
アユ「…ッかずまくん…」
壱「あゆ、俺の事わかる?ここ、病院」
なんで私、病院なんかいるのかな
さっきまで普通だったじゃん。
ねぇ、私に何があったの?
壱「急に高熱出て倒れて、ここまで運ばれてきたんだよ。」
アユ「高熱?なんで?」
壱「ただの風邪だろ…」
って言ってる壱馬くんの顔はどこか悲しげで
アユ「嘘ついてる…?」
壱「ッ…」
アユ「…壱馬くん?」
少し黙り込んでいた壱馬くんが私の目を見ながらこう言った。
壱「肺がん…ステージ4…あと、奇形種だって…」
アユ「肺がん…?奇形種…どゆこと?」
壱「肺がんは前のが再発したらしい、ステージ4だから、手術は難しいって…あと、奇形種は…まだ調べてみないと分からないけど、多分、卵巣にあるって…」
アユ「、、、」
言葉が出なかった。
涙も出なくて、ただ信じられなかった。
ひとつならまだしも、ふたつの病気になってしまうなんて、ありえないと思ってた。
アユ「…肺がんの手術はダメでも、奇形種って病気は治せるんだよね…??」
壱「…」
アユ「ねぇ、、」
壱「どこにあるか分からないとどうも言えないけど、卵巣だった場合…卵巣を摘出するんだって…」
アユ「…そっか」
もう、慣れっこだよ、
何度も何度も病気になって入院して、手術して、リハビリして…
それを何度繰り返せばいい?
私が何をしたって言うの?
これから3人で頑張ろうって時に、
なんでこうなっちゃうの?
なんで…?
ねぇ、教えてよ、
アユ「私の何がいけないの?」
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。