第23話

<第二章>-6
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2018/11/30 05:32
それは、テレサが多田と出会った日、れいん坊将軍のヒミツの抜け穴だと思って食い入るように見つめた、あの取水口を写した写真だった。
気付いた多田が
多田光良
多田光良
ああ、この前の写真だ
と言ってテレサを見る。
テレサ
テレサ
はい!
テレサは妙に嬉しくなる。
自分の記憶だけではなく、こうやって写真に残せるって、なんだかとっても素敵なことだ。そう思うと、いても立ってもいられなくなり、アレクに勢いよく語りかけた。
テレサ
テレサ
ねえアレク、私もこんな写真、撮ってみたいわ! 今までは撮られる方が多かったけど……、せっかくのチャンスだから私も挑戦してみたいの!
最後の方は少しトーンを落として、皆に聞こえないように注意しながらも、色んな事の一歩が踏み出せそうな予感でワクワクしながら、目を輝かせて話していた。
アレクは、テレサの気持ちはわかった気がしたが、ひたすら胡散臭く思える杉本や、最初からあまり良い印象を持っていない伊集院が部員という事がひっかかる。
そんな迷いを察したように、日向子が助け船を出した。
長谷川日向子
長谷川日向子
まずは、体験入部という手もありますよ?
伊集院薫
伊集院薫
そうだよ! いいじゃんいいじゃん、せっかく写真に興味持ったんなら、体験入部、いいじゃん、ね? 光良!
多田光良
多田光良
ああ
伊集院薫
伊集院薫
ピン先輩もさ!
伊集院がアイコンタクトで「押して押して」と訴えると、杉本も頷いて、渋い声で言った。
杉本一
杉本一
どうだい、よかったら、一日、体験してみるかい?
テレサ
テレサ
はい!
と喜んで即答したテレサがアレクにも賛成してほしくて、必死な視線を向ける。
そんなテレサの子犬のような目を見ていると、アレクも反対できなくなり、渋々頷いた。
アレク
アレク
……では、お試しさせて頂いてから、よく考えましょう
テレサ
テレサ
やった~! ありがとう、アレク!
そう言って飛びつくテレサに、アレクはやれやれと苦笑するしかなかった。