【Ⅱ-VOL.21】
夏:ギャーーーーーッ!!!コ〇す気かぁーーーーーッ!!!
〇:な、夏樹…結局 あんたもかい。
夏:や、大丈夫だと思ったんだけどなぁ〜
中:コイツ、ホンマもんのアホやな。
夏:うっさい!淳太だって、メッチャ怖がってたじゃん!!!男子がカッコ悪ぅ〜
中:はいはい。
春:照史もかなり怖がってたよ〜
照:そりゃ、怖いやろ〜
春:だからって、私の後ろに隠れるとか、あり得ないからね!
照:すんません…
春菜も夏樹も、名前で呼んでるんだ…
私とは違うな…
濵:次は何がイイ?
〇:濵田先輩が乗りたいのは何?
濵:観覧車かなぁ〜〇〇と、ふたりっきりになれるやろ?
照:濵田ちゃん、エ〇いで!
濵:何がや!俺はピュア〜代表や!
言ってる照史の方が、エ〇いやんけ!
中:小学生みたいな返しをすな。置いてくで!
私達は、ふたりずつ観覧車に乗ることにした。
【Ⅱ-VOL.22】
濵:〇〇はジェットコースターとか大丈夫なんやな。
〇:うん。大好き!
濵:お化け屋敷も、観覧車みたいな高い所も大丈夫なんやな…
お化け屋敷では、チョット怖かったから濵田先輩に、少しくっついちゃった〜
〇:高い所も好きだよ!だんだん景色が良くなってきた〜すごい遠くが見えるぅ〜(笑)
はしゃいでる私とは違って、濵田先輩は落ち着いていた。
〇:どうしたの?高い所、怖いとか?
濵:ちゃ、ちゃうわ!あ〜ホンマや!すごい遠くが見えるぅ〜!
〇:なんか、誤魔化してない?
濵:はぁ?そんなん、してへんし!
濵田先輩は、私に背を向けて、外を見ながら言った。
怪しい〜
〇:そう言えば さっき、桐山先輩がエ〇いって言ってたの、なに?
濵:そ、そんっ、そんなん知らんわ!
〇:もぉ〜ホント、男子の会話って分かんない…
それに、せっかく ふたりっきりになれたのに、なんで背中 向けてるの?
【Ⅱ-VOL.23】
ふと振り返って先のゴンドラを見ると、桐山先輩と春菜が手を振っていた。
私も笑顔で手を振り返した。
桐山先輩が口パクで「濵ちゃんは?」と聞いた?
振り返って濵田先輩を見たが、まだ背中を向けて外を見ていた。
桐山先輩に、「さぁ〜?」と両手を広げ両肩を上げ、首を傾げた。
そのうち、春菜達は見えなくなった。
そのあと、私は景色では無く、濵田先輩を見ていた。
濵:はあぁぁ〜〜〜〜っ…
濵田先輩は、深い深いため息を吐いた。
はぁ?やっと、体をこっちに向けたかと思ったら、ため息ぃ??
なんなの?
ふたりっきりに、なりたかったんじゃなかったの?
ガタンッ!
ゴンドラに少しの衝撃が走った。
気付くと、観覧車の中心の柱が真横にあった。
頂上か…
でもなんか、感動しない…
もっとテンション上がってもイイはずなのに…
私達は そのまま、ほとんど会話もしないで、観覧車を降りた。
【Ⅱ-VOL.24】
春菜と桐山先輩は、さっきは手も繋いで無かったのに、繋いで、私達が降りるのを待っていた。
夏樹と中間先輩は、腕を組んで、さっきより明らかにラブラブしてる。
濵田先輩は…引き続きテンション低め。
この差は何?
私、観覧車 嫌いになりそう…
〇:ねぇ、なんかあったの?
濵:ぅへぇっ?なにがぁ?
いや、こっちが聞いてるんだけど!
〇:もうイイッ!!!
つい、怒ってしまった。
私が鈍感なの?
濵田先輩に、嫌な思いをさせちゃったの?
ろくに話しもしてくれないなんて…
春:〇〇どぉしたの?
〇:私…帰ってもイイかなぁ?
夏:えぇーッ!まだ、これから楽しいのにぃ〜!
その時、一番 会いたくない人が、最高のテンションで近づいてきた。
紗:崇くん 見ぃつ〜けた〜〜(笑)
濵:さ、さっ、紗羅ちゃん!なんでおんねん?!!!
【Ⅱ-VOL.25】
紗:崇くんと、遊園地行きたかったから〜
濵:デートや言うたやろ!
紗:皆さんいるなら、イイでしょぉ〜?
最悪だ…
春:紗羅ちゃん?来たばかりだけど、私達帰るの。ごめんね。
夏:紗羅ちゃん「崇くん」と楽しんで〜じゃね〜!
えっ?えっ?どうしたの?
ふたりとも帰るの?
私だけで いいのに…
春:〇〇行こっ!
〇:う、うん…
ありがとう…ふたりとも…
泣きながら歩き出した。
濵田先輩は、追いかけて来なかった…
夏:謝るのは無しだからね。私達が帰るって、自分で決めたんだから。
〇:夏樹…
春:それにしても濵田先輩、何なの?〇〇が、何したって言うのよ!ね〜!
〇:春菜…
ふたりとも…ありがとう。
私達は、駅前のケーキやさんで、一番大っきいホールのケーキを買って帰った。
やけ食いだ。
だって、解決しない問題で、モヤモヤしていたんだもん!
濵田先輩のせいだからね!!!
【Ⅱ-VOL.26】
夏:もう、食べよ!食べよっ!
春:切らずにフォークで食べよ〜
〇:あ〜憧れのやつだぁ〜!
やけ食い、女子会、最高!!!
〇:濵田先輩もケーキ好きなんだよね〜
春:照史も好き!ケーキに限らないけどね…
夏:淳太も甘いの結構 好きみたいよ。
〇:ねぇ…3人の中で、私が一番先に付き合い始めたんだよね?
春:どした?そんな事 聞いて?
〇:ふたりはさ…名前で呼んでるけど…私は…前と変わらない。
夏:そんなの、人それぞれでしょ?!
春:そうだよ。でも、気になるなら変えてみたら?
夏:「崇くん」てか?
〇:それ、シャレになんないしぃ〜
私と濵田先輩って、ホントに付き合ってるんだよね?
そもそも、付き合うって何?
春:〇〇だって、付き合ってから変わった事 あるでしょ?
〇:う〜ん?デートする様になった。
夏:それから?
〇:帰りとか送ってくれたり…あっ!歩く時、いつも手を繋ぐよ!
夏:中二かよ!
【Ⅱ-VOL.27】
〇:や、中二は手 繋がないでしょぉ〜
春・夏:・・・・・
〇:えっ!中二、手 繋ぐの?!!!
春:もしかして、〇〇と濵田先輩って…
春菜と夏樹は、顔を見合わせた。
夏:付き合って、どのくらいだっけ?
〇:3ヶ月。
春:夜、ふたりで遊びに行ったりしてるよね?
〇:夜は〜呑みに行って〜始発までカラオケ行って〜帰る。
夏:何それ?マジ 中二。
〇:や、中二は夜遊びしないでしょ〜
春:夏:・・・・・
〇:え"っマジ?!!!いまどきの中二って…
春:や、時間帯の問題じゃないから!
〇:あッ!!!待って!まだあるよ!
思い出したよぉ〜
こう言う事だったのね〜
私は自信満々で言った。
〇:キャンパスの皆んなが見てる所で…
夏:えっ!公衆の面前で?
〇:うん。あのね…可愛いなぁ〜って、抱きしめられた!(笑)
春・夏:・・・・・
〇:じゃあ、中二じゃない、大学生 〇〇は、どうすれば正解なのよぉ〜?
【Ⅱ-VOL.28】
夏:私、観覧車で淳太と初キスした。
〇:え"っ!だってまだ、付き合い始めたばっかじゃん!!!
春:私もしたよ。チュッって。
〇:春菜も?チュッって?
夏:私は、チュッだけじゃ無かったけどね…
〇:だけじゃなかったぁーーーッ?!!!
春:それが普通だと思う。
〇:マジか…
夏:濵田先輩と観覧車で、そういう雰囲気にならなかった?
春:そうだよ、ふたりに なりたいって言ってたんだし!
〇:ならなかったよ。だって先輩、ずっと背中 向けて座ってたし…ろくに話しも してくれなかったもん…
夏:隣に座らないところからして、キスする気は無いよね。
私達って、上手くいってないのかな…
濵田先輩…私に触れたくないのかな…
色々あるけど、私達は、幸せだと思ってたのに…
濵田先輩から連絡は無い。
今、何をしているの?
紗羅ちゃんといるの?
私の事なんて…
もう…
【Ⅱ-VOL.29】
♪〜着信音〜♪
春:照史だ。もしも〜し。
イイなぁ〜春菜。
桐山先輩、包容力ありそうだし、こんな時 たっくさん心配してくれるんだろうなぁ〜
春:えっ?分かった〜
春菜は電話を切って、私達に言った。
春:そこの公園で、3人待ってるって。
〇〇?行ける?
〇:行かなきゃ…ダメ?
夏:そうだね…行かなくて後悔するよりかはね。
〇:会いたくないのに?
春:う〜ん…じゃあ、イイよ。私達、行ってくるね。
そう言うと、ふたりとも行ってしまった。
ひとりになった部屋は淋しくて…
濵田先輩に会いたくて…
私は涙を堪える事が出来ず泣いていた。
すぐ傍にいるのに、会えない。
好きなのに、会えない。
自分の中にある、濵田先輩への想いの大きさに気付かされていた。
それが理解できた時にはもう…
走り出していた!
【Ⅱ-VOL.30】
ハァ…ハァ……
会いたい。
ただ…
それだけ…
〇:崇裕っ!!!
私は走ってる勢いのままに、そう呼び、
ビックリして立ち上がった崇裕の腕に、飛びついた!
〇:ハァ…ハァ…あのね…私…ハァ…ハァ
息が切れて…
上手く言えない…
っ!!!
濵:好きや………それしか…ない。
そう言って強く抱きしめてくれた。
また、涙が溢れてきた。
私の息と涙が落ち着いた頃、ベンチに座り、話してくれた。
濵:俺…〇〇が初めてやんか。せやから、付き合うって言っても分からんくて。〇〇を傷つけないか、〇〇に嫌われないかって考えたら、何も出来なくて…
でもな、初めては〇〇って決めててん。
けど…それが叶わんくて…
その事が、〇〇を裏切った気がして辛くて…
〇:え……どういう事?
崇裕は、打ち明けにくそうにしていたが…
うつむきながら、話し始めた。
【Ⅱ-VOL.31】
濵:さ、さっ、紗羅ちゃんにな………
やっぱり、紗羅ちゃんか…
同じ部屋に寝泊まりしてたら、間違いも起こるんだな…
私はその場から逃げ出したかった。
けど…
辛そうな顔をした崇裕が、
ホントは話したくない事を伝えようとしている姿に、
傍から離れる事は出来なかった。
崇裕は、軽く繋いでた私の手を、 ギュッと強く 指の間で繋ぎ直した。
濵:ソファーで寝とったらな、紗羅ちゃんにチュッってされてん…
寝とったとは言え、気付かんかってん…
・・・ごめん…
えっ?
私が考えてたのと、全然 違う…
もっと、こう…なんて言うか…
大人な絡みを想像してたんだけど…
やだ〜なんか私、ひとりで恥ずかしい〜!
〇:あ〜 そ、そう!良かった!
濵:は?良かった?
〇:や、良くはないけど…
崇裕はまた、うつむいてしまった。
〇:私ね、分かったの!
そういう…関係(?)が進まなくても、それが私達らしければ、大丈夫って!
私は知ったから。
会いたかった気持ちが、想いの全てで、
その想いが、私を走らせたんだって。
〇:私…ずっと、『好き』が変わらないから!
濵:・・・そうくるとは…
〇:えっ…ダメだったかな?
もしかして…
同じ気持ちじゃ、無かったの?
【Ⅱ-VOL.32】
濵:やばいな…俺の『好き』は…変わってもうた…
えっ…そんなぁ…
胸が潰されそうだ…
逃げよう…
繋いでいた手を離し、立ち上がって、ボー然と歩き出した。
濵:〇〇 待って!お、俺の話し終わっとらん!
〇:や、もうイイよ…
濵:ちゃうし!
〇:紗羅ちゃんと…お幸せに…
濵:やから!また、そんな!アホかぁ!
歩く私の、少し後ろから話しかける。
なにテンパってるの?
どうせ 私を、アホ扱いしに来たんでしょ!
そんな事では、私の足は止まらなかった。
濵:最後まで聞けやーーーッ!!!
〇:っ!!!
珍しく怒鳴り声をあげた崇裕に、少し離れた場所にいた皆んなも、ビックリしていた。
私もビックリして、足を止めた。
濵:なんやねん いつも!そうやって早とちりばかりしてぇ〜〜ッ!!!
〇:なにそれ…
濵:お前しかおれへんし!約束したやん!もう忘れたん?
私は、潰されそうな心を支えながら、振り向けずにいた。
【Ⅱ-VOL.33】
〇:…覚えてるよ…でも、、、
好きじゃないのに、約束なんて もう…叶うわけないじゃん。
濵:あのな〜好きやないなんて、誰が言うたん?
〇:えっ?
言ってたし…
『好き』が変わってしまったって。
濵:ホンマ アホ!
『好き』やなくてぇ……
私には、次の言葉までの その少しの間が、
永遠に感じるほどだった…
崇裕は、スゥーハァー息を大きく整え、
公園中に響き渡る声で、私の背中に叫んだ。
濵:『愛してる』やーーーッ!!!
私はビクッとなった。
あ、愛してる?
そんな言葉…なかった。
今まで、私の中に 存在していなかった感情…
そっか…
『愛してる』なんだ!!!
振り返ると、今にも泣き出しそうな顔で、立ち尽くしてる 崇裕。
その姿が、あまりにも愛おしくて、
私の中に生まれた『愛してる』という感情が、
穏やかに吹いてきた。
【Ⅱ-VOL.34】
ゆっくりと5歩。
崇裕の前まで来た。
今度は…私から…
崇裕に そっと抱きしめられてみた。
〇:アホでごめんね…
濵:おん…
〇:アホでも、愛してる?
濵:おん…
〇:どのくらい?
濵:ひゃ、100% や…
〇:えッ!前より減ってる!
濵:や、う、嘘やて!そんなん、1000% に決まっとるやないかぁ〜
〇:増えてない…そんな もんか…
濵:や、待って待って!あっ!分かった!
2000% や!!!
ぷっ!(笑)
ドヤ顔て…
可愛い。
思わず吹き出してしまった私に…
チュッ♡
〇:えっ?!//////!
濵:えっ?!//////!
はっ!!!ごめん つい…
また、テンパってる(笑)
これが、私達のファーストキス♡
そう、『2000% I♡ you!』
私達のパーセンテージは、まだまだ上昇中です(笑)
☆fin.☆
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!