第16話

No.1 1
706
2021/05/12 13:37
〜深夜2時18分〜
梅原裕一郎
ん…
目を開ければ白い天井が見えた。月明かりが差し込んで、静かだった。誰かの寝息が聞こえる、それも大人数だった。
瀬川 あなた
裕一郎さん…?
梅原裕一郎
あなた…
瀬川 あなた
起きられましたか
梅原裕一郎
ここどこ…
瀬川 あなた
病院です、イベントの後幕下がった瞬間裕一郎さん倒れたんですよ…?
梅原裕一郎
確かに幕が閉じた時からの記憶がない
梅原裕一郎
ごめん…ッ…迷惑かけた…
瀬川 あなた
いいんですよ、それにきっと私よりもその言葉を伝えるべき人がいますよ
梅原裕一郎
…?
瀬川 あなた
…ほら、そこで寝ている先輩方です
右端から木村さん、代永さん、江口さん、西山、壮馬、花江くんがお互いの肩を貸しあってソファーに座って寝ていた
瀬川 あなた
…皆さん、凄かったんですよ?
西山さんは裕一郎さんを車まで担いで運んでくれて、江口さんは車でここまで連れてきてくれて、花江くんは個人的に…私を落ち着かせてくれて、壮馬さんは荷物を持ってこの病院まで来てくれて、良平さんは焦ってる私達に指示を出してくれた、代永さんは私達を誘導してくれたり、後々話を聞いたらスタッフさんに色々対応してくれたみたいです
梅原裕一郎
…迷惑かけたな…明日みんな仕事だろうに…
梅原裕一郎
今…何時…?
瀬川 あなた
深夜の2時です
梅原裕一郎
瀬川 あなた
…そんな顔しなくても大丈夫だと思いますよ…?皆さん梅ちゃんが心配だってずっと言ってましたもん
梅原裕一郎
でも…
瀬川 あなた
はいそこから先言うの禁止です!
梅原裕一郎
え、えぇ…
梅原裕一郎
…あなた、
瀬川 あなた
なんですか…?
梅原裕一郎
…ベット…座って…?
瀬川 あなた
…?はい…
瀬川 あなた
っと…
梅原裕一郎
ギュッ
瀬川 あなた
?!?ゆ、裕一郎さん?!?///
梅原裕一郎
心配かけたでしょ…ごめんッ…
瀬川 あなた
…裕一郎さん…
梅原裕一郎
…あと、無理してごめん…、
瀬川 あなた
梅原裕一郎
役者として…俺の事嫌いになった…?
瀬川 あなた
え…?
梅原裕一郎
だって…自分の体調管理もできないし、無理だとわかってても無茶して周りに迷惑かける声優だよ…?
梅原裕一郎
…嫌いに…なったよね…
梅原裕一郎
……俺の事、男としても嫌いになった…?
瀬川 あなた
…裕一郎さん
少し弱った声で私にそういった裕一郎さん、手は震えていたし声も弱っていた、でもなんだか、病気だけじゃない。そんな重みを感じた










瀬川 あなた
ギュッ
梅原裕一郎
え…?



















だから私はそんな弱りきった裕一郎さんを抱き締め返した、強く、優しく、苦しくさせないように
瀬川 あなた
な訳ないじゃないですかッ…もちろん倒れた時心配もしたし、舞台上でパニックにもなりました…でも最後までやりきった裕一郎さんも、ライブで輝いていた裕一郎さんも、みんなかっこよかったです…
梅原裕一郎
あなた…
瀬川 あなた
それに、私はもう重症ですから中々裕一郎さんのこと嫌いになりませんよ?
梅原裕一郎
瀬川 あなた
ライブで歌ってる時、同じ曲で優しく笑いかけてくれたのかっこよ過ぎて私さらに惚れましたもん…
梅原裕一郎
…そういうところ、付き合いたての頃と全く変わらないよな…あなたって、w
西山宏太朗
…ハイハイストップ!!!恋愛警察です!!
斉藤壮馬
彼女がいない人たちの前でイチャイチャしないこと!!!
梅原裕一郎
?!?に、にしやま…
瀬川 あなた
そうまさん…
江口拓也
こらこら、2人のムード壊さないのw
花江夏樹
梅ちゃんおはよ!調子は大丈夫…?
梅原裕一郎
大丈夫、ありがとう花江くん
木村良平
梅ちゃんおはよ、さぁここからは2人で話そうか
梅原裕一郎
…え?
代永翼
良平くんお怒りだよ〜?長いお説教になりそうw
木村良平
梅ちゃん一体一で話し合おうか
梅原裕一郎
梅原裕一郎
…後ほどでお願いします…
梅原裕一郎
ッ…ゴホゴホッ…
代永翼
はいはい梅ちゃん無理しない…大丈夫…?
梅原裕一郎
ありがとうございまッす…
大丈夫ッ…です…
瀬川 あなた
江口拓也
…暗い顔、大丈夫?
瀬川 あなた
江口さん…
梅原裕一郎
ゲホゲホッ…
代永翼
深呼吸深呼吸、
瀬川 あなた
…なんだか、しおんくんとそっくりだなって…
江口拓也
え?
瀬川 あなた
あ、その、アニメのしおんくんです
江口拓也
それまたどうして?
瀬川 あなた
…咳き込んでるシーン、貰ってる台本の中にあったんです。そしてそれを支える月宮くんと星乃くん。
瀬川 あなた
何となく病室に入れないひなちゃんを瑠璃斗くんが見つけて話しかけるしーんがあるんです
江口拓也
へぇ…その台本まだ受け取ってないかも
瀬川 あなた
あぁ、私たちが先に頂いてるんです。今はお仕事少しお休みしてるので、空いてる時間とかに読んでるんです
江口拓也
なるほどね、



…だったら尚更、俺瑠璃斗みたいじゃんw
瀬川 あなた
江口拓也
今、梅ちゃんに声掛けにくいんでしょ?
瀬川 あなた
…そう、ですね…
江口拓也
ほらね?
瀬川 あなた
なる…ほど?
江口拓也
分かってないでしょw
瀬川 あなた
えへへw
江口拓也
…笑って方が可愛いよ、あなた
きっとそれは俺以上に梅ちゃんも思ってる事だと思うし
瀬川 あなた
江口拓也
心配なのは俺も一緒だよ、大切な後輩1人死にますなんて言われて、誰かが受け入れられるって?って話だしw


…それでも俺は先輩だし、梅ちゃんに頼られてる。ならちゃんとかっこよく居たいじゃん?
江口拓也
それは彼女の立場のあなたも、きっと一緒でしょ?
瀬川 あなた
…そうですね、
江口拓也
ならほらっ!
パンッ!!
江口拓也
背中は叩いて意地でも押してやるから、ちゃんと前向いて彼氏さん元気づけな!!
瀬川 あなた
っいったぁ〜…!!!
江口拓也
いひひw
瀬川 あなた
もぉ〜…w
確かに痛かったけれど、でも何だか心地よくて、前を向けたのは確かな痛みだった。不思議なものだ、痛いのに何故か覚悟が決まった。






















瀬川 あなた
これが''お兄ちゃん''の力なのかな…
江口拓也
なんかいった?あなた
瀬川 あなた
いーえ、なんでも!

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