第8話

雨に濡れた恋心
250
2018/10/02 12:50
隆弘side
都が心配になって、夕方、ティラミスの店まで走っていった。
雨が強くて傘を二人分持った。
矢神よしか
矢神よしか
あれ?ひろ……?
西島隆弘
西島隆弘
よしか!都しらね?
矢神よしか
矢神よしか
え?しんとティラミス食べに行くんでしょ?とっくに店行ったんじゃない?
西島隆弘
西島隆弘
嫌な予感がする……。
矢神よしか
矢神よしか
そんなのいっつもでしょ?大丈夫だよ
よしかは笑いながら大丈夫、大丈夫って言ってるけど、どうかわからないので、ひとりで探すことにした。
さしている傘はほとんど意味もなく、

肩が濡れている。
新島都
新島都
……。
これまでにないほど無表情で、目をどこに向けているかもわからない。
西島隆弘
西島隆弘
都!!
彼女はゆっくりこちらに目を向けた。


その目に表情はなく、何にもうつしていなかった。
しんのためにオシャレをしたのか、

いつもより服も可愛くて、髪の毛も巻いちゃって、


おまけに絶対にしない化粧まで。

まぁグロス程度だけど。
西島隆弘
西島隆弘
しんは?一緒にいたんじゃないの?
新島都
新島都
もぅ、知らない……、私は、どうせその程度の……人間だったんじゃん?
西島隆弘
西島隆弘
都、
新島都
新島都
だから恋愛なんか、信じないんだよ……。
自分を責める癖。



前と同じだ。
西島隆弘
西島隆弘
都、男が皆そうとは限らないんじゃない?俺はしんとは違う
新島都
新島都
やだ。もう、信じない。
壊れてしまった。



冷血の対象は、この世の全ての男子になってしまった。

もちろん、その中に俺も含まれている。
二度と前のような都には戻らないような気がした。

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