すると遠山さんの後ろから誰かが出てきた
萩斗に気づいたみたい
付き合ってること言うのかな‥
私クラスじゃ舞以外知らないしなぁ
こっちを萩斗は見ている
言ってもいいのかってことだよね
まぁ隠す必要ないよね‥
コクリと頷く
そう言って萩斗は出て行こうとした
ゆっくりしとけってことだよね
そう言いながら前髪を整えている
入学当初から左目を前髪で隠していた
それもわざと隠れるように
見えにくいとか違うのかな
まぁ理由あるんだろうけど
山田の投げ方を思い出してみる
確かに
ドッチボールみたいだった
佐藤さんは微妙な表情をして下を向いている
言うべきなのか
言ったらどうなるのか
佐藤さんを困らせてしまう。
私がもし佐藤さんの立場なら迷惑をかけるのが嫌だから。
遠山さんにいじめの事実が伝わる
言わなかったら
多分遠山さんは私を怪しんだらするし
これからのバスケは遠山さんまで庇おうとして大きな事故につながる可能性がある
けれど
遠山さんは決して悪い人ではない
私が知る限り
それにいじめはダメなこと
佐藤さんは目を見開く
声がかすれている
そして急に大きな声を出す
嘘‥あたし‥
間違えた‥の
佐藤さんは走って出て行った
佐藤さんの声のせいか
看護師さんがやってくる
明日‥か
看護師さんが出ていく
“正義のつもり”
だった
でもそれは
佐藤さんにとって
“不必要”だった
私は昨日見たことすべて話す
言っていいのかわからなかった
これも佐藤さんにとって
“迷惑”なのかな
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。