「そうです。実は僕が任されてる施設なんですが…宜しければ一緒に行ってみませんか?
まぁ特に何をするでもないんですが…ご家族を探すにもまずは住む場所を確保しないと」
つまりそれはチラシの施設を経営しているこの先生の手伝いということになるのだろうか。
「これは…手伝いということでしょうか」
そう恐る恐る聞くと、先生は少し笑顔を見せて
「はい、それから僕もそこに住んでるので…
あ、部屋は余ってるんでそこ使ってくれればいいんですけど!
あ、料理とかもそこに住む何人かで全員で食べるので食費とかはいらないです!
給料も出しますし…
よかったら、記憶が戻るまでのあいだそこで一緒に施設のお手伝いをしていだだけたらと…
すみません、突然すぎましたね」
と言った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!