司会「本日のゲストはこの方たちで〜す」
一同『よろしくお願いしまーす』
司会のタイトルコールと出演者の紹介が始まる。私は前列の一番端っこ、増田さんは前列の真ん中。そう、位置が遠くないのだ。これは大問題。増田さんから話を振られる確率が格段に高い。
(後にスタッフさんに聞いてみたところ、増田さんは宣伝で来てるから目立つ位置に座らせたかった、あなたはトークが上手くて場が盛り上がるから前列に座らせたかった、と言っていた)
私も幼い頃からこの界隈にいるから、個人の都合でどうこう出来ることはないとは薄々感じていた。とにかく、今はこの状況を乗り切ろう。
司会「さて、今回のトークテーマは【ハマっているもの】です!」
…は?????
なんで!?!?!?スタッフの工作!?!?私のハマってるものなんてただ一つ、NEWSに決まってんじゃない!!!!!!ねぇ!!これどう乗り切ればいいの!?!?!?
増田「はい!」
司会「増田さんどうぞ」
増田さんはこういうとき、1番に声を出せる人だ。それで得意のポンコツをかまして周りの笑いを取るのが戦略、だと思ってる。私たちはそのテンポに合わせて発言をしたり笑ったりする。
増田「ハマってるのか分からないんですけど」
司会「分からない?それは増田くんが?」
増田「いや、あなたちゃんです」
あなた「わたし!?!?」
え、え、え、なんで!?!?まだ始まって数分しか経ってないんですけど!?
私はバレないように小さく腹式呼吸をした。大丈夫、きっと初共演だから色々調べてきてくれたんだわ。周りへの気配りが出来る増田さん素敵…(泣)
増田「さっき、あなたちゃんの楽屋にお邪魔させてもらったんですけど、初共演だから、でもたまたまあなたちゃんも僕の楽屋に行ってたみたいで(笑)」
司会「入れ違いだったってことね(笑)」
増田「そうなんです。そしたらあなたちゃんの机にタオルが置いてあって、そのタオルが…」
楽屋のタオル…?私、タオルなんて…あっ、今日持ってきてたタオル、EPCOTIAのやつじゃなかったっけ…!?!?!?やだもう、なんで配慮出来なかったの!?!?
あなた「ああ…」
司会「あなたちゃん、なんで顔隠してるの(笑)」
あなた「思い当たるんです、増田さんが言うタオルが」
増田「あはは、やっぱあれあなたちゃんのなんだ(笑)ありがとうね」
司会「待って待って、で、そのタオルはなんのタオルだったの?」
増田「そりゃもう、あなたちゃんに答えてもらいましょうよ(笑)」
意地の悪い顔をして私のことを見つめる増田さん。テレビで見たことない顔で私を見つめてる。答える云々より顔見て話せない…!!!!
私は顔を隠しながら
あなた「EPCOTIAのツアータオルです…」
と小さく答えた。顔は見えない、顔は見えないけど、増田さんの満足そうな笑い声が聞こえる。
増田「NEWSの、2年前かな?のツアーのタイトルがEPCOTIAっていうんです。そのグッズのタオル、あなたちゃんが持ってるんです。それって、今NEWSにハマってるってことなのかなって思って」
司会「なるほど!これは、あなたちゃんに詳しく聞く必要がありそうですね」
結局、その日の収録は増田さんのやりたい放題、私のことをからかう共演者さんたちで視聴率は驚異の20.5%を記録した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。