第2話

#2
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2021/06/06 01:01
司会「本日のゲストはこの方たちで〜す」
一同『よろしくお願いしまーす』

司会のタイトルコールと出演者の紹介が始まる。私は前列の一番端っこ、増田さんは前列の真ん中。そう、位置が遠くないのだ。これは大問題。増田さんから話を振られる確率が格段に高い。

(後にスタッフさんに聞いてみたところ、増田さんは宣伝で来てるから目立つ位置に座らせたかった、あなたはトークが上手くて場が盛り上がるから前列に座らせたかった、と言っていた)

私も幼い頃からこの界隈にいるから、個人の都合でどうこう出来ることはないとは薄々感じていた。とにかく、今はこの状況を乗り切ろう。

司会「さて、今回のトークテーマは【ハマっているもの】です!」

…は?????
なんで!?!?!?スタッフの工作!?!?私のハマってるものなんてただ一つ、NEWSに決まってんじゃない!!!!!!ねぇ!!これどう乗り切ればいいの!?!?!?

増田「はい!」
司会「増田さんどうぞ」

増田さんはこういうとき、1番に声を出せる人だ。それで得意のポンコツをかまして周りの笑いを取るのが戦略、だと思ってる。私たちはそのテンポに合わせて発言をしたり笑ったりする。

増田「ハマってるのか分からないんですけど」
司会「分からない?それは増田くんが?」
増田「いや、あなたちゃんです」
あなた「わたし!?!?」

え、え、え、なんで!?!?まだ始まって数分しか経ってないんですけど!?
私はバレないように小さく腹式呼吸をした。大丈夫、きっと初共演だから色々調べてきてくれたんだわ。周りへの気配りが出来る増田さん素敵…(泣)

増田「さっき、あなたちゃんの楽屋にお邪魔させてもらったんですけど、初共演だから、でもたまたまあなたちゃんも僕の楽屋に行ってたみたいで(笑)」
司会「入れ違いだったってことね(笑)」
増田「そうなんです。そしたらあなたちゃんの机にタオルが置いてあって、そのタオルが…」

楽屋のタオル…?私、タオルなんて…あっ、今日持ってきてたタオル、EPCOTIAのやつじゃなかったっけ…!?!?!?やだもう、なんで配慮出来なかったの!?!?

あなた「ああ…」
司会「あなたちゃん、なんで顔隠してるの(笑)」
あなた「思い当たるんです、増田さんが言うタオルが」
増田「あはは、やっぱあれあなたちゃんのなんだ(笑)ありがとうね」
司会「待って待って、で、そのタオルはなんのタオルだったの?」
増田「そりゃもう、あなたちゃんに答えてもらいましょうよ(笑)」

意地の悪い顔をして私のことを見つめる増田さん。テレビで見たことない顔で私を見つめてる。答える云々より顔見て話せない…!!!!

私は顔を隠しながら

あなた「EPCOTIAのツアータオルです…」

と小さく答えた。顔は見えない、顔は見えないけど、増田さんの満足そうな笑い声が聞こえる。

増田「NEWSの、2年前かな?のツアーのタイトルがEPCOTIAっていうんです。そのグッズのタオル、あなたちゃんが持ってるんです。それって、今NEWSにハマってるってことなのかなって思って」
司会「なるほど!これは、あなたちゃんに詳しく聞く必要がありそうですね」


結局、その日の収録は増田さんのやりたい放題、私のことをからかう共演者さんたちで視聴率は驚異の20.5%を記録した。

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