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2022/01/14

第11話

#11
タクシーから降りて、約束していた飲食店にはいる。増田さんと初めてここでご飯を食べてから1人でも来るようになり、すっかり常連だった。
店員さんに声をかけると、笑顔で対応してくれた。

(増田さんならあちらの部屋でお待ちしていますよ)
あなた「ありがとうございます!」

芸能人のために用意されたかのような(そうだけど)個室の扉を3回ノックする。はーい、と可愛い声が聞こえて扉を開けた。

あなた「お待たせしてしまって申し訳ないです」
増田『んーん、次のツアーの衣装考えてたし、そんな待ってないよ』
あなた「衣装ですか!?」
増田『食いつき良いな(笑)秋にツアーやるって言ったでしょ?それ』
あなた「えぇ楽しみ…絶対当てますね」
増田『当たんなくてもチケットくらいあげるけど』
あなた「だめです!あくまで私ファンなので!」

増田さんは口を尖らせて『えー』と言った。
そんなに可愛くしてもお金しか出ませんよ…。

私は度数の弱いお酒とパスタを注文した。
増田さんはビール(何杯目?)とちょっとしたおつまみを注文していた。

あなた「増田さんってお酒強いですよね」
増田『そう?俺的には結構抑えてるつもりだけど』
あなた「私そんなに飲めないですよ」
増田『じゃあ俺より弱いのか。え、じゃあ他の俳優とかとご飯行くとき飲みすぎないでよ?』
あなた「そうやってすぐ期待させるようなこと言う〜!私以外の女の子にしたら絶対勘違いしちゃいますよ」
増田『あなたちゃんは期待してくれないの?』
あなた「えっ…」

増田さんはたまにずるいことを言う。いつものおちゃらけた様子ではなく、結構真面目な顔で。
まっすぐな黒い瞳に見つめられて、吸い込まれそうになる。この人は一体、私をどうしたいのだろうか?

あなた「…増田さんは、意地悪ですね」
増田『毎回俺に【ファン】っていう線引きしてるあなたちゃんのほうが意地悪だよ。ねえ、初めてここでご飯食べた時のこと覚えてる?』
あなた「忘れるわけありません!大好きな増田さんからお誘いをもらって、本当に嬉しかったんですから」
増田『じゃあ俺の言ったことも覚えてるね?』
あなた「そ、れは…」

覚えてる。鮮明に。

【付いてもいい嘘がある】【2人で逃げ切ろう】

そう言われたのだ。

あなた「…逃げきれますか?」
増田『当たり前。この俺に出来ないことなんてないでしょ?』
あなた「あははっ、ないですね」
増田『そこは突っ込むとこでしょ!(笑)』

そう増田さんは笑って、ビールを口にした。
ほんのり赤くなっていたのは、お酒に酔ったからか、はたまた照れていたのか。…まさか、お酒に強い増田さんが酔うことなんて早々ないですよね?

なーんて。

帰り際、繋がれた手は冬なのに暖かくて。
でもそれはきっと、この人がいるからなんだと確信していた。