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2021/06/14

第5話

#5
『お前の背中、押せるの俺しかいねぇだろ?』
『…うん、ありがとう、行ってくる!』

カット!

私は役を終えて、乾いた口を潤しにウォーターサーバーから水を注いで喉に流し込んだ。
私の役は、同級生に両片思いをしている主人公。隣の家の幼馴染み役は増田さん。…そう、この間誘われたドラマで共演することを決めたのだ。
もう既に1話〜3話までは放送済。放送決定した頃、私に対する批判は決して少なくは無かった。もちろんそんな批判、来て当然だと思っていたからダメージはほとんど無い。むしろ視聴率が上がって得なのでは?と思っている。

カメラマン「あなたちゃん、シーンの確認するから増田さん呼んできてくれる?」
あなた「分かりました」

このドラマ、主人公と同級生の両片思いも見どころなのだが、増田さん演じる幼馴染みの主人公に対する切ない片思いが見どころでもある。原作者の方はとてもいい話を書くな、と。
そんなことを考えているうちに増田さんが目の前に。

あなた「さっきのシーンの確認するらしいので表にお願いします」
増田「はあい。お仕事ご苦労さま」
あなた「これくらいお仕事とも呼べませんよ」
増田「もーつれないなぁ」

カメラマンのところに集合し、本番1発OKをもらったところで今日の撮影は終わりだ。現在時刻は22時35分。帰って録画してたゴチでも見ようかな。

増田「あ、あなたちゃん!この間の約束、覚えてる?」
あなた「約束…?あっ、お食事会ですか?」
増田「そうそう、お疲れ様ーってことでこれからどう?」
あなた「行きたいです。今日は私の奢りで!!」
増田「そこ強調しなくても分かってるから(笑)じゃ、行こっか」

あの俳優さんはどうだとか、NEWSの新グッズがどうだとか、様々な話題で盛り上がって時刻はあっという間に1時10分。
そろそろ解散しようと私から言った。

増田「げ、時間経つの早いな。もう遅いし、タクシー代出すから家まで送ろっか?」
あなた「いや、2人でタクシーに乗るのは危ないです。最近の女性○ブンは怖いですよ」
増田「え、でも」
あなた「私、1時間後にマネージャーに送ってもらうので、増田さん先に帰ってください」
増田「…やっぱ心配だわ。スマホ出して?」
あなた「スマホですか?…はい、出しました」
増田「ちょっと貸して、ありがとう」

増田さんは私のスマホをテキパキ操作し始めた。

増田「ふはっ、ロック画面もホーム画面も全部俺じゃん(笑)愛深いわぁ」
あなた「…もう増田さん嫌いになりそうです…」
増田「え、なんで!?(笑) 嬉しいってことだよ(笑)…あ、はい、これで大丈夫」

増田さんはLINEの画面を開いた状態のスマホを私に返した。新しい友達には『たかひさ』と平仮名で書いてあった。

あなた「え、連絡先…!」
増田「うん、なんかあったらイタ電でもスタ連でもなんでもして?俺すぐに駆けつけるから」
あなた「…宝物にします」
増田「あなたちゃん一々大袈裟すぎ!(笑)」
あなた「やっぱり増田さん大好きです…」

私が涙目でそう言うと、増田さんは笑い泣きをしていた。私もつられて笑った。もうなんの涙かは分からなくなっていた。

あなた「それじゃあ、また、明後日の撮影で」
増田「うん、明後日ね。気をつけて」
あなた「はい。増田さんも気をつけて」

少し名残惜しかったが、その背中を見送って私はマネージャーに連絡をした。