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第4話

西口、改札前で。
学校では、放課後までずっと他人をよそおって、電車もわざと違う車両に乗って、下車したのは同じ駅。
屋上で交換したトークアプリのIDから、送られてきたメッセージは、
河内 恭介
河内 恭介
『西口の改札前で』
ため息をつきながら、駅の西口の改札近くまで向かい、言われた通りに待つことにした。
葉山 日菜
葉山 日菜
(絶対に断らなきゃ)
葉山 日菜
葉山 日菜
(昼は、つい勢いにされちゃったけど)
河内 恭介
河内 恭介
ごめん、遅れた
葉山 日菜
葉山 日菜
! い、いえ……
ひとりで気合いを入れて、決意を固めていたところに、声が飛び込んでくる。
葉山 日菜
葉山 日菜
(断らなきゃ。断らなきゃ……!)
葉山 日菜
葉山 日菜
(そして、私が漫画をいていることも、秘密に──)
河内 恭介
河内 恭介
葉山
葉山 日菜
葉山 日菜
えっ!?
河内 恭介
河内 恭介
あそこ、座ろう
河内くんが、改札に一番近い構内のベンチを指さして、人ひとり分の間を空けて、ふたりで座る。
葉山 日菜
葉山 日菜
(どうやって断ればいいだろう……)
河内 恭介
河内 恭介
俺さ
葉山 日菜
葉山 日菜
え?
河内 恭介
河内 恭介
俺、実は、少女漫画が好きなんだ
葉山 日菜
葉山 日菜
……え?
河内 恭介
河内 恭介
そういうのって、他の奴には言いづらくてさ。学校では話せなくて
河内 恭介
河内 恭介
この駅なら、クラスの奴は、俺たち以外にいなかったから
意外。

河内くんが、少女漫画が好きだったなんて。
かたよった考えかもしれないけど、バトルものの少年漫画ばかり読んでいるイメージだった。
葉山 日菜
葉山 日菜
(じゃあ、からかわれているんじゃなくて、本当に……?)
河内 恭介
河内 恭介
だから、嬉しかったんだ。葉山のノートを開いた時
そう語る横顔は、言葉通りに、穏やかで嬉しそうな表情に見えた。
河内 恭介
河内 恭介
今まで、絶対に誰にも言えなかったから
河内 恭介
河内 恭介
おかしいだろ。男が少女漫画読んでるとか
葉山 日菜
葉山 日菜
ううん、おかしくなんてない
ただ、少し意外だっただけで。
私がすぐに否定をすると、目を丸くした河内くんは、ニコッと笑った。
葉山 日菜
葉山 日菜
(悪い人ではないんだよね……)
葉山 日菜
葉山 日菜
(過去のトラウマのせいで、だいぶ警戒しちゃったけど)
河内くんは、私の漫画を決してバカにしたりしない。
葉山 日菜
葉山 日菜
(この人なら、信じてもいいのかな)
数分前まで、断ることばかりを考えていたのに。
葉山 日菜
葉山 日菜
あのね、河内くん、ひとつだけお願いがあるの
河内 恭介
河内 恭介
なに?
葉山 日菜
葉山 日菜
私が漫画を描いていること、……誰にも言わないでほしいの
河内 恭介
河内 恭介
あー、それは、もちろん
葉山 日菜
葉山 日菜
もちろんって?
河内 恭介
河内 恭介
いや、本当は、葉山は誰にも知られたくなかったんだろ?
河内 恭介
河内 恭介
ノートを渡した時、顔色悪かったし。なんかすごい怯えてたから
葉山 日菜
葉山 日菜
(バレてたんだ)
河内 恭介
河内 恭介
葉山も、俺のことは秘密な
葉山 日菜
葉山 日菜
う、うん!
河内 恭介
河内 恭介
学校では、知らないふりした方がいいかもな。いきなり会話とかし出すと、怪しまれそうだし
河内 恭介
河内 恭介
ふたりで話す時は、駅のこの場所で。どう?
葉山 日菜
葉山 日菜
うん、分かった……
河内 恭介
河内 恭介
じゃあ、ふたりだけの秘密ってことで
その響きは、なんだかとてもくすぐったい感じ。
葉山 日菜
葉山 日菜
(ふたりだけの秘密……。少女漫画みたい)
なんて、すぐにそっちに思考を持っていってしまうほどには、私は少女漫画脳。
葉山 日菜
葉山 日菜
そういえば、少女漫画みたいな体験って、なに?
河内 恭介
河内 恭介
ん? んー、そうだな……
あごにこぶしを当てて、考える素振りを見せた河内くんは、チラッと私に目をやった。
河内 恭介
河内 恭介
ちょっと、こっち
葉山 日菜
葉山 日菜
手招きをされ、よく分からないままに、少しだけ身を乗り出す。
そして、頭に大きな手のひらがポンッと乗って、
河内 恭介
河内 恭介
いい子
葉山 日菜
葉山 日菜
!!
河内 恭介
河内 恭介
とか、こんな感じ?
間近で微笑まれ、髪の毛からじんわりと伝わってくる熱に、体中の血液が顔面に集中した。
葉山 日菜
葉山 日菜
(確かに、こんなの飽きるほど何回も見たことあるけど……!)
男子に免疫がない私は、河内くんの提案を承諾したことを、早速後悔していた。