無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第12話

河内くんの隣
翌日の朝は、前日とは違って、いつも通りの時間に駅に向かうことが出来た。
葉山 日菜
葉山 日菜
(夜ふかしして、早起きしたから眠い)
おかげで、ノートの漫画はまた少し進めることが出来た。
眠い目をこすりながら、ホームに向かうために、駅の階段を上がる。
河内 恭介
河内 恭介
おはよ、葉山
葉山 日菜
葉山 日菜
! 河内くん、おはよう
後ろから肩を叩かれて、飛び上がりそうになりながらも、あいさつを返す。
河内 恭介
河内 恭介
昨日、大丈夫だった?
葉山 日菜
葉山 日菜
あ、藤間くんのこと? うん……、なんとか。すごく気まずかったけど
河内 恭介
河内 恭介
昔、仲良かったわけじゃないんだ?
葉山 日菜
葉山 日菜
全然だよ。むしろ……
いじめられてたし。

なんて口に出すのは、何だか情けないような気がして、口ごもる。
河内 恭介
河内 恭介
……でも、名前で呼んでたよな。「日菜」って
葉山 日菜
葉山 日菜
最初はね、もっとひどかったの。「ひよこ」って呼ばれてたから
河内 恭介
河内 恭介
ひよこ?
葉山 日菜
葉山 日菜
名前、ヒナだから。バカにされて、ずっと「ひよこ」って
葉山 日菜
葉山 日菜
すっごく嫌で、やめてって何度も言って。そしたらようやく名前呼びになったの
河内 恭介
河内 恭介
それだけだと、なんか仲良さそうに聞こえるけど
葉山 日菜
葉山 日菜
よくないよ。バカにされてたんだから
葉山 日菜
葉山 日菜
なのに、また会うなんて。しかも同じクラス
河内 恭介
河内 恭介
……
隣同士、同じ速度で階段を上がる私たちの横を、次々と追い越していく人たちの背中を見上げる。
葉山 日菜
葉山 日菜
(そういえば、昨日と違って歩きやすいな)
葉山 日菜
葉山 日菜
(河内くんが同じ速度で隣にいるから、話もしやすい)
葉山 日菜
葉山 日菜
(河内くんの方が、藤間くんより背も少し高いのに)
葉山 日菜
葉山 日菜
(……あれ?)
葉山 日菜
葉山 日菜
河内くん、もしかして
河内 恭介
河内 恭介
ん?
目を見て微笑む顔に、口を開いたけど、なぜか何も言えなくなって、無言で閉じた。
河内 恭介
河内 恭介
今、なんか言いかけなかった?
葉山 日菜
葉山 日菜
……ううん
河内 恭介
河内 恭介
そう? てか、昨日からたまに顔赤いけど、やっぱり熱が
葉山 日菜
葉山 日菜
下から顔を覗き込む仕草に、シャキッと背筋が伸びる。
葉山 日菜
葉山 日菜
そ、それ、ズルい
河内 恭介
河内 恭介
え、どれ?
全然分かっていないところも、なんかズルい。
階段を上がり切って、次は下りの階段。

ホームの様子が見えてきて、足を止めた。
藤間くんがいる。
河内 恭介
河内 恭介
葉山?
すっかり足を止めた私を、少しだけ先に進んだ河内くんが振り返って、名前を呼ぶ。
そして、河内くん自身も藤間くんに気がついたのか、「ああ」と声を漏らした。
河内 恭介
河内 恭介
大丈夫。俺、先に行くから、葉山はゆっくりおいで
それだけを言い残し、河内くんは駆け足でホームに向かった。
葉山 日菜
葉山 日菜
(大丈夫って、どういう意味だろう)
言われた通りに、ゆっくりと階段をおりる。
遠巻きに様子をうかがっていると、河内くんが藤間くんに声をかけているのが分かった。
少し警戒するように眉を寄せる藤間くんに対して、河内くんは笑顔で接している。
ホームに足を踏み入れて、藤間くんと話をしている河内くんを、チラッと一瞥いちべつする。
河内くんは、ホームの黄色い線に目配せをして、目を細めて笑い、すぐに藤間くんへ視線を戻した。
葉山 日菜
葉山 日菜
(今のうちに、電車の順番待ちに並べってことかな)
葉山 日菜
葉山 日菜
(私が、藤間くんを苦手なのを知って、わざと?)
葉山 日菜
葉山 日菜
(河内くんだって、昨日は藤間くんに失礼な言い方をされたのに)
胸に手を当てて、もう一度河内くんを見る。
葉山 日菜
葉山 日菜
(なんか、やっぱりズルい)