照史くんは渋々私たちと一緒に居た。
淳太もゲームをやろうと誘うが、
あっさり断られてしまった。
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晩ご飯を作りながら見ていた私のところに淳太がとぼとぼと歩いてくる。
頭を撫でてやると、うん、と小さな返事が返ってきた。
淳太の目の先には作りかけのご飯。
ふたりに気を取られていたが、もうすぐ7時になる。はやく作らなければ。
突然叫んだ照史くんにびっくりして私も淳太も振り返る。
ほぼ心の声がダダ漏れの照史くんはぷいっ、とそっぽを向いた。
そんな照史くんを見て淳太と顔を見合わせ、少し笑った。
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小さな手を丁寧に合わせから食べ始めた淳太。
に対し、一向に食べる素振りを見せない照史くん。
照史くんは無言でうどんを見つめる。
すると、
と言って食べだした。
さっき叫んだことを気にしているのだろうか。でも、すごいスピードで食べているところを見る限り、好きだとしか見えない。
ふふっ、と私が笑をこぼすと
鋭い目付きと一緒に声が返ってきた。
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私は目線を合わせられるように目の前に座る。
照史くんは一瞬視線を逸らし苦そうな顔をしたが、すぐに私に向き直って
と強がって言った。
そんな様子が可愛くて思わずわしゃわしゃと頭を撫でた。
サッ、と私から離れた照史くんはドアのところに立って、
そう言ってさっき案内した部屋へ戻ってしまった。
余計なことしちゃったかな。
少しひとりで反省した。
淳太のそんな声が聞こえて笑ってしまったが。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。