祖父がいわゆる施設というものを立ち上げているのは前々から知っていた。
それを手伝い出したのは確か高校2年生だった頃。
兄弟がいないから子供が可愛くて仕方がなかったのを覚えている。
そんな日々がしばらく続いたある日、
祖父からひとり見てほしい子がいると言われた。
これが淳太との出会い。
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中間淳太、と書かれた紙をペラりとめくる。
小学5年生、父親が経営していた会社が倒産…、
ということは、
経済的な面で淳太を育てられなくなったため、両親はこの家に預けた。
軽く情報を頭に入れて会いにいく。
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祖父と個室に居た淳太くんは、私が入ってくるのを見るなり少しにこりと微笑んだ。
そう言って頭を下げる淳太くん。
祖父から私の話は聞いていたみたいで案外すんなりと受け入れてくれた。
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真っ白なひとり部屋に連れていくと、おぉ〜、と声をもらした。
やった、と嬉しそうに部屋に入っていく。
そう言い残して私は部屋に戻った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。