マイキーside
携帯に送られてきた地図の通りにバブを走らせ、辿り着いたのは一つのタワーマンション。
あなたちゃん、こんなところに住んでんの?
目の前に聳え立つ大きな建物はテレビでもよく紹介される都内でも高級と言われる一つ。
俺でも知ってるその建物は確かにあなたちゃんから送られてきた地図と同じ場所。
マジかよ…俺が知らないだけで灰谷兄弟って結構金持ちなのか?
前を歩き出す灰谷弟の後を追い掛け、タワマンのエントランスに足を踏み入れる。
外観もそうだったけど、中もすげぇ高級感溢れてるな。
キョロキョロと周囲を見渡す俺の耳に僅かに小さな笑い声が聞こえてきた。
笑い声のした方を向けば、灰谷弟が俺に背を向けて肩を震わせていた。
チッ、ムカつく。
俺の睨みにも怖気付くこともなく鼻で笑ってきた。
此処で喧嘩するわけにもいかないので睨むだけに留めたが、ムカつくモノはムカつく。
ってかコイツ、こんなにものんびりしてるけどケンチンの今の状況を知らねぇの?
灰谷兄も一緒じゃないってことはまだ知られてないんだろうな。
灰谷弟と一緒にエレベーターに乗って辿り着いた階数はなんと最上階だった
まさかの最上階かよ…
開いたエレベーターの扉の前には今から会おうとしてたあなたちゃんが居た。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。