※流血表現、暴○表現あり
静かに近付いてきた堅が未だに地面に倒れる稀咲の腹部を思いっきり蹴り上げた。
両手足を紐で縛られてるため、動けないところに堅からの蹴り。
鋭い痛みが走り、稀咲の口から僅かに血が吐き出される。
痛みに悶えるように身体を丸めようとする稀咲の髪を鷲掴み、無理矢理顔を上に上げさせ…
稀咲は今この瞬間、本当の彼らを垣間見た気がしたし、あなたに手を出そうとしたことを激しく後悔した。
灰谷あなたは彼らの地雷だった。
愛する存在が居る者は守るためならいくらでも強くなれるとはよく聞くが、彼らのそれはそんな生易しいモノじゃない。
守るためなら手段を選ばない、排除することにも躊躇いがない。
ある意味で不良らしい彼らのやり方。
鋭い光を帯びるその眼光は正に怒り狂う肉食獣のそれと同じ。
対して自分は肉食獣の地雷をスキップで踏み抜いた哀れな草食動物。
その言葉と同時に稀咲の身体が蹴り飛ばされ、積み上げられたダンボールに突っ込む。
コツコツ、と3人分の靴音が静かな倉庫内に響き渡り、朦朧とする意識の中で稀咲が最後に見たのは鋭く殺気立つ堅の振り上げられた拳だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。