ヒロイモノ
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悲しいはずなのに、明るく振舞おうとしている声
少しの沈黙
そしてこの音声の中で1番優しい声でつぶやく
そこで音声は終了した
なんとも言えない気持ちのまま
香織はパソコンの画面を見つめる
さっきコンビニで買ってきた袋を取ろうと立ち上がる
その時ぽたりと何かが落ちた
気づいてしまったら、溢れ出す涙
だんだんと嗚咽混じりになっていく
ー
爽汰はそっとガーベラに触れる
ずっと聞きたかった声
もう、聞くことなんてできないと思っていた声
その声の方を爽汰はゆっくりと向く
ずっと待っていた彼女恥ずかしそうに
握りしめていたものを爽汰に見せる
それは爽汰が誰に届くかも分からないまま
公園に置いてきたUSBだった
昔と変わらない
優しくて、温かい笑みを彼女は浮かべる
それを見て爽汰は彼女のことを抱きしめた
ガーベラの花言葉
“ 希望 ”
fin