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第6話

6☁*°
313
2021/11/22 10:41
爽汰
俺の話はこれで終わり
爽汰
長々と聞いてくれてありがとう



悲しいはずなのに、明るく振舞おうとしている声
爽汰
君が誰かも分からない
爽汰
このUSBがそもそも拾われるかも分からない
爽汰
でも、今こうやって話してすっきりしたよ
爽汰
彼女は俺の前にはもう居ない




少しの沈黙


そしてこの音声の中で1番優しい声でつぶやく
爽汰
ありがとう




そこで音声は終了した





なんとも言えない気持ちのまま
香織はパソコンの画面を見つめる




香織
そうだ、晩御飯…


さっきコンビニで買ってきた袋を取ろうと立ち上がる



その時ぽたりと何かが落ちた
香織
あれ、なんで私…
香織
泣いてるんだろう



気づいてしまったら、溢れ出す涙


だんだんと嗚咽混じりになっていく
香織
ぐすっ、なんで、こんなに
香織
涙が止まらないの…
香織
私はだって…だって………
香織
“ 落し物 ”…拾った…だけ…ぐすっ
香織
そうだよ、“ 拾った ”んだ

























爽汰
USB誰か拾ったかなw
爽汰
まぁ、中身聞いても関係ない人には
興味のない話だろうけどww
爽汰
俺も、あいつのこと忘れて前に進まないとな…



爽汰はそっとガーベラに触れる
爽汰
このガーベラが枯れるまで…
爽汰
それまでは…
彼女
そんなこと…言わないでよ
爽汰
え、



ずっと聞きたかった声



もう、聞くことなんてできないと思っていた声




その声の方を爽汰はゆっくりと向く
彼女
私の事忘れちゃうの?
爽汰
なんで…
彼女
なんでって……



ずっと待っていた彼女恥ずかしそうに
握りしめていたものを爽汰に見せる




それは爽汰が誰に届くかも分からないまま
公園に置いてきたUSBだった
爽汰
なんでそれを…
彼女
爽汰が、私の“ 落し物 ”を
届けてくれたから
彼女
だから帰ってこれた





昔と変わらない


優しくて、温かい笑みを彼女は浮かべる






それを見て爽汰は彼女香織のことを抱きしめた
爽汰
おかえり、香織
香織
ただいま















ガーベラの花言葉




“ 希望 ”







fin








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