俺の名前はカラ松。おそ松とデート中だ。
大好きなおそ松を前にカッコつけすぎてつい金を出しすぎてしまった..。そして、おそ松の誘いもやむを得なく断ってしまったッッ!!
Oh〜〜〜ッッ..なんてナンセンスなんだ俺ッッッ!
おそ松とデートなんだから、もう少し持ってきておけば...。いいや、指輪のためだっ...!
ここはサプラ〜イズのためっ、おそ松には少し我慢させてしまうがなるべく使わないようにしないとな..。
今日のシフトは...と....。ん...?
やけに静かになったな..。ははーん? まだラブホのことを引きずってるんだな? しかたない、また近いうちにラブホに誘おうじゃぁないか。
......?
返事がない。おかしい、いつもは秒で返事が帰ってくるのに..。
さては、いじけて無視しているな?
振り返ると、俺の後ろにいたおそ松は姿を消していた。
足を止めてあたりを見回す。
すこし大きめの声で言っては見たものの、現れる気が微塵もない。
まぁまぁ人混みだからな...。
ボケっとしてたらはぐれたんだろ....。
それか......。
....とりあえず引き返して見るか。どうせ、パチ屋かラブホの前で佇んでるだろ。アイツ今日財布持ってなかったしな...。
見つからない。
どこを探しても、どこにもいない。
いなくなってからもう3、4時間はたっている。空はオレンジ色になってきて、人混みも薄れている。なのに、見つからない。
先に帰ってしまったのか...?
そんな事が有り得るのだろうか。
........有り得るな。おそ松だし。帰ったらしれーっと居たりするしな。
よし、帰ろう。腹減ったし。今日の夜もシフト入ってるし。
〜♪〜〜♪ 今日は唐揚げがいいなぁ〜♪〜〜♪
見つかるまで探すべきだったと、少し後悔をしながら台所へと向かう。冷蔵庫から麦茶を出しコップに継ぐ。ついでに冷蔵庫の中から今日の晩御飯であろう塩サバを電子レンジで温める。茶碗にご飯をよそおうとした時、チョロ松が慌てた様子で台所に入ってきた。
チョロ松に腕を捕まれて、茶碗としゃもじを持ったまま居間に駆け込んだ。
テレビに映っているニュースには、おそ松が帰って来ないことを意味するものが流れていた。
心臓がバグバグして、脳の処理が追いつかない..。
東郷...、あの、東郷か...?
赤塚駅って...俺達が最後に寄ったのも....
は..、え..、じゃあおそ松は...????
もしかして、東郷に捕まっt
俺はちゃぶ台にお茶碗としゃもじを置いて靴を履きに玄関へ行った。ドアに手をかける。
俺はそう言って玄関を出てドアを静かに閉めると、猛スピードで赤塚駅周辺へと走っていった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。