第8話

"知りたい"
247
2019/11/24 06:28
折原  千良
折原 千良
ご馳走様でしたー
あなた
あなた
ご馳走様でした
コトっとフォークを置く。
食べ終えた後もセンラさんはニコニコしていた。

顔が整っているので、キラキラした笑みが余計に際立っている。
私は珈琲コーヒーを口にしてふぅっと息を吐く。
折原  千良
折原 千良
あなたちゃんは甘いのが好きなん?
あなた
あなた
人並みにたしなむ程度ですね
折原  千良
折原 千良
イチバン好きなんは何?
あなた
あなた
ドボシュトルタですかね
折原  千良
折原 千良
へぇ 定番系じゃないんやね?
あなた
あなた
そうですね
折原  千良
折原 千良
自分でも作るん?
あなた
あなた
はい、休日にたまに作る程度ですが
折原  千良
折原 千良
すごっ!
あなた
あなた
・・・あ、あの
折原  千良
折原 千良
ん?なに?
私は少し苦々しい顔をして問うた。
目の前の天女のような輝かしい笑みを見ると、更に顔が苦くなる。
あなた
あなた
何故急にそんな質問を・・・
折原  千良
折原 千良
あなたについて知りたいと思ってん
あなた
あなた
っ・・・・
センラさんが私に興味をもっているのかなんなのか知らないが、私はその言葉に顔を引きらせた。
「知りたい」
その言葉に戦慄する。
損得でその言葉を言っていないことはもう分かっている。"情"や"気の迷い"だと、皆が言った。
話すことにいい事なんてない。
あなた
あなた
・・・___ぃ
折原  千良
折原 千良
え?
あなた
あなた
何も、いい事なんてないです
折原  千良
折原 千良
あなたちゃん?
あなた
あなた
っ!!
あなた
あなた
い、いえ・・・
なんでもないです
荷物を全て手に持ち、慌てて席をたった。
鞄から財布を取り出すと、急いでカウンターに向かう。
汐町  優響
汐町 優響
あなたちゃん?
そ、そんなに慌てなくても……
あなた
あなた
い、いえ!
あなた
あなた
・・・・
はいっ!
汐町  優響
汐町 優響
…丁度頂きました。
汐町  優響
汐町 優響
気を付けてくださいね
私の異変に気付いたのか、特に何も言わずに優響さんはそれだけ言ってくれた。


本当に勘も洞察力も性格もいい人だと思う。
及川  林檎
及川 林檎
あなたちゃん、
及川  林檎
及川 林檎
・・・ばいばい!
またねー!
あなた
あなた
……はい、また
ドアを開け、ベルが鳴った。
いつもより荒いベルの音が。

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