第5話

鈍色の空
247
2019/11/13 08:37
温かなモカが喉を通る。
落とした視線を上にあげた時、少年_基、折原さんと目が合った。
あなた
あなた
...こんばんは
一応のこと挨拶だけしておく。
折原  千良
折原 千良
こんばんは
折原  千良
折原 千良
えっと、日々谷ひびや  あなたさん?
あなた
あなた
そうですが...
折原  千良
折原 千良
前々から見かけてて
名前も知っとったから1回話してみたいと思っとったんです!
あなた
あなた
は、はあ
(関西なまりのある人なのかな?)
折原  千良
折原 千良
あ、僕の名前...、
あなた
あなた
折原おりはらさん、でしたっけ?
折原  千良
折原 千良
なんで知っとるんです!?
あなた
あなた
2―Eの"トップ4"の方ですから
折原  千良
折原 千良
あ、はは・・・
苦笑を浮かべる。
どうやらその呼び名には慣れていないらしい。
思っていたよりずっと謙虚けんきょな人柄で少々驚いている。
あなた
あなた
あ、すみません 時間が...
折原  千良
折原 千良
もう そないな時間ですか
あなた
あなた
それでは、また
椅子に掛けていたブレザーと、荷物用カゴに入れていたバッグを取ると、席から立った。
あなた
あなた
優響ゆうきさん、はい
代金を優響ゆうきさんに渡す。
汐町  優響
汐町 優響
はい
汐町  優響
汐町 優響
丁度ですね。
有難う御座いましたー
及川  林檎
及川 林檎
あなたちゃん、お帰り?
あなた
あなた
えぇ
及川  林檎
及川 林檎
そっか!ばいばい!
あなた
あなた
はい、また来ますね
汐町  優響
汐町 優響
いつでも待っていますから
優響ゆうきさんと林檎りんごさんが微笑む。
その笑顔が嬉しくて、
無彩色の心に色彩が溢れていくようで、
感謝してもしきれない。
くるりと体の向きを変える。
あなた
あなた
折原おりはらさんも。
おやすみなさい
折原  千良
折原 千良
うん
おやすみー
折原おりはらさんに笑みを返し、喫茶店を出た。




空はすっかり桔梗色ききょういろに染まっていた。
そこには星はなく、月も見えない。
私はその空が、
ただの鈍色にびいろにしか感じられなかった。

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