合宿の日の夜。
思い出していた。全部。
始まりは小学六年生。
私はとっても好きだった人がいた。
龍空だった。
私は誰にも言っていなかったのに、いつの間にか広がっていき、
相変わらず君は無口。
でも、私の反応が面白いのか、どんどんエスカレートしていく
席替えでわざと龍空と隣にしたり
私のものを龍空の席に置いたり、
逆に龍空のものを私の席に置いたり。
言ってもないことを龍空にいっていじったり。
もっとあるけど。
正直私はボロボロになった。
私は嫌われたくない。みんなと仲良くいたい。
その一心で、ずっと笑っていた。
だけど心の奥底では泣いていた。
みんなの前で笑顔を作るのが精一杯になった。
そして龍空にもまあまあ避けられた。
それがびっくりするほどショックだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。