あなたへ
手紙開けてくれてありがとう
住所変わってなくて良かった。
裁判の時はひどいこと言ってごめん
今更何って感じだよね本当にごめん
あんなこと本当は思ってないけど
あなたが俺を忘れて幸せになれる方法、
これしか思いつかなかった。
傷つけてごめん。
明日二審の判決が出ます。
死刑、かもしれない。
最後に手紙を1人にだけ書けると告げられ
真っ先に浮かんだのはあなたでした。
というより、あなたしか居ませんでした。
あの半年間は本当に宝物だよ。
あなたに公園で声かけてもらった時から
俺たちの軌跡は始まったね
もう5年前か。懐かしいな
一つ願いが叶うなら、あの時に戻りたいと思う
何をしても戻らないけど
何回も願ってしまうよ…
いつも考えるのはあなたのことで
目を閉じればあなたが頭に浮かぶ
今でもあなたが大好きだよ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!