無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第33話

【番外編】 夜に駆ける ②






























フェンスを乗り越え、彼女の手を取る。




























彼女の手は、蒸し暑い空気に反して冷たかった。





























「竈門さん、はなして下さい。」





























鈴の音に似た、儚くて可愛らしい彼女の声。
































俺は、彼女の声も好きだった。





























『なんでっ、そうやって、あなたさんはっ!!』






























「早く、死にたいんです。」





























『どうしてっ...!』






























「死神さんが呼んでるのです。」





























あなたさんには、【死神】が見える。






























「タナトス」に支配される人間に稀に見られる症状なのだという。





























そして【死神】は、タナトスに支配された人間にしか見ることが出来ない。





























『死神なんていないんだ。』





























「竈門さんはどうして分かってくれないのですか....!」





























俺が死神を否定すると、彼女は決まって泣き叫ぶ。





























死神は、それを見るものによって1番魅力的な姿をしているらしい。






























いわば、理想の人の姿をしているのだ。





























あなたさんは、死神を見つめている時(俺には架空を見つめている様にしか見えないが)、まるで恋をしているような、夢を見ているような表情をしていた。






























まるでそれに惚れているような。





























俺は彼女のその表情が嫌いだった。





























『死神なんて見てないで、俺を見てくれ...!』





























「嫌です.....!!」





























彼女が俺の手を振り払おうとしたので、思わず力強く握ってしまった。





























「痛いです...!」





























『あっ.....!!ごめん..!!』




























でも、君が悪いんじゃないか。





























俺の手を振り払おうとするから。





























俺の事を見てくれないから。






























「死神さんはこんなことしません....!!」






























俺の心にどす黒いものが押し寄せてくる。



















『なんで.....!!』





























なんで、こんなにも俺はあなたさんの事を愛しているのに、あなたさんは俺だけを見てくれないのだろう。





























死神なんかに嫉妬するなんて馬鹿らしいと思ったが、もうそんなことはどうでも良かった。































「もう嫌なんです。」



















俺も嫌だよ。





























「もう疲れたのです。」





























俺だって疲れたよ。





























「早く死にたいんです。」

































『俺だって死にたいよ!!!!!』




































その時、あなたさんが顔をあげた。






























ニッコリと笑っていた。




















ーーーーー続くーーーーー