第7話

「隣にいるだけでいい」
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2022/09/20 21:54

























「あ、体育してる……」





私はちょうど窓側の席で、少し窓を見てみると



深春が体育をしている。









いいなぁ……あの子達は深春と同じクラスで。




羨ましい…




私と変わってほしい。






同じクラスの人に嫉妬してしまう、




してはいけないのに。







「いいな……」






私はこの嫉妬を抑える為に、授業に戻った。































「はぁ……」





「どうしたの?ここ数週間しんどそう」




「そんなことないよ」



「…そう、」














画力はあると思う、頑張って部員からの信頼を…




そうしないと……





そうしないと…



部活に来れない。









「あーりす」





「はぇ?」




深春は私の頬を人差し指で抑えてきた。



「無理しちゃ駄目だよ」





「大丈夫だよ」




「え……でも」





「早く部活行こ」













私は言葉を遮って、部室に向かった。














「…上手く描けない」







なんだか心がごちゃごちゃして、



描きたいものを描けない。






何度も描きすぎて、スケッチブックに鉛筆の跡が付いてる





「…しんど」












頑張らないと、絵上手くなって



色んな人と話して、




部長にならないと…ここにいれないじゃない?

















数ヵ月間、私は絵を描き続けた。







でも、良いものは描けなかった。





「なんでなんでなんでなんで……」












「愛鈴、話があるの」




「…なぁに?」










「これはなに?」





「え、それ……」






お母さんが右手で持ってるのは、







私のクロッキー帳だった。







「それ…」





「どうしてこんなの描いてるの?」





私のキャラクターが描いてあるページを捲られた。





女の子の絵。




「えっと…」


「…」



ぱちん、私の頬に痛みが走った。



「え……」





「やめなさい!こんなの!」




「恥ずかしくないの?!」





「な…んで?」




「こんなの……!!」







「やだ!やめて!」






お母さんは私のクロッキー帳を鋏で切った。




無惨に散らされたクロッキー帳は、




もう私のじゃないみたいだ。












「…」



「なんで……」







「恥ずかしくないの?!こんなの描いて!」




「もっと美術らしい絵を描きなさい!」





美術らしいって何、



私は私の絵を描いちゃ駄目なの?





自由に描くのも許されないの?




私が傲慢なだけなの?




私が悪いの?





部活に入った私が悪いの?















深春が好きになったのもいけないの?






「…好き……でも友達でいい…」





付き合うとか、そういうのは別に良いんだ。




隣にいれたらそれでいいんだよ。






一人だと生活出来ないし、お母さんに


あの人にしがみつくしかない。








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