真兄の呪いによって生まれた衝動
いくら過去に戻ろうと、前のタイムリーパーが変えてしまったものはどうにもならない
それを抑えていた3人もいない今、私が出来ることって何?
……いや、タケミっちを信じるしかない
タイムリープがきっかけで生まれたなら、その能力でどうにかなるはず
目には目を、歯には歯を…
……あれ?じゃあお兄ちゃんは?
どうやってタイムリープの能力を得たんだろう
多分、その口の傷がついた出来事のこと
今まで一度も思い出さなかった
それは、記憶を無くした私が本来のハルと関わってこなかったから
守ってくれていた人を振り切ったから
ハルの言葉が聞き取れず聞き返そうとした瞬間、電車が急ブレーキをかけた
鳥肌が立つような音に包まれたかと思うと、電車はゆっくりと速度を落としていった
するとやがて、停止した
くそっ……ブレーキが動かねえ…!
このままじゃ間に合わねえ
タケミチを突き放したは良いものの、1人では到底無理だった
焦りと共に口の中の鉄の匂いが強まった気がした
もう間に合わねえ……!!
思い出した
千世はオレの兄だった
憧れだった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!