第154話

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2023/05/08 13:24
麗木(なまえ)
麗木あなた
そんな………じゃあ、黒い衝動はもうどうにもならない…






真兄の呪いによって生まれた衝動









いくら過去に戻ろうと、前のタイムリーパーが変えてしまったものはどうにもならない









それを抑えていた3人もいない今、私が出来ることって何?









……いや、タケミっちを信じるしかない









タイムリープがきっかけで生まれたなら、その能力でどうにかなるはず









目には目を、歯には歯を…









……あれ?じゃあお兄ちゃんは?









どうやってタイムリープの能力を得たんだろう









三途春千夜
三途春千夜
……もう完全に思い出したのか
麗木(なまえ)
麗木あなた
あ、うん……そうっぽい






多分、その口の傷がついた出来事のこと









今まで一度も思い出さなかった









それは、記憶を無くした私が本来のハルと関わってこなかったから









守ってくれていた人を振り切ったから









三途春千夜
三途春千夜
………忘れてた方が幸せだった
麗木(なまえ)
麗木あなた
え……






ハルの言葉が聞き取れず聞き返そうとした瞬間、電車が急ブレーキをかけた









鳥肌が立つような音に包まれたかと思うと、電車はゆっくりと速度を落としていった









するとやがて、停止した



















くそっ……ブレーキが動かねえ…!









このままじゃ間に合わねえ









タケミチを突き放したは良いものの、1人では到底無理だった









鶴蝶
鶴蝶
くそっ……ダメか………!?






焦りと共に口の中の鉄の匂いが強まった気がした









もう間に合わねえ……!!


















麗木千世
麗木千世
オマエさぁ、ほんっと無茶しかしねえな
鶴蝶
鶴蝶
っ………!!
麗木千世
麗木千世
オレも手伝ってやるよ、鶴蝶
鶴蝶
鶴蝶
っ……ち、とせ………






思い出した









千世はオレの兄だった









憧れだった










麗木千世
麗木千世
はぁ…?オレがかっこいい?
鶴蝶
鶴蝶
ん?おう
麗木千世
麗木千世
……………………オマエ正気か?
鶴蝶
鶴蝶
マジトーンで言うのやめろよ!
麗木千世
麗木千世
いや……オレにそんな事言うのなんかオマエくらいだわ
鶴蝶
鶴蝶
そんな事ねえだろ
麗木千世
麗木千世
そんな事あるんだよ阿呆
鶴蝶
鶴蝶
千世くんは……喧嘩は強えし頭も良い。
オマケに顔も良いだろ?
麗木千世
麗木千世
そこで頷くのは灰谷くらいだろ…
鶴蝶
鶴蝶
憧れなんだよな!
千世くんは全不良の鑑だから
麗木千世
麗木千世
………そんな大層なもんじゃねえよ、オレは
鶴蝶
鶴蝶
千世くん……?
麗木千世
麗木千世
いや……なんかオマエと話してると、
久々に弟いるみてえな気分になるわ
鶴蝶
鶴蝶
千世くんの弟か……そりゃ荷が重いな
麗木千世
麗木千世
千世でいい
鶴蝶
鶴蝶
……え?
麗木千世
麗木千世
なんか呼び方気に入らねえっつーか落ち着かねえから
鶴蝶
鶴蝶
………………!
麗木千世
麗木千世
な、鶴蝶!















麗木(なまえ)
麗木あなた
ねえ、鶴蝶!!

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