リビングから出てグランドピアノが置いてある防音室に入る
防音室の壁には今まで賞を取ってきたトロフィーやらなんやら色々置かれている棚
この棚が嫌いだ。
そう言ってもお母さんに許して貰えるわけ無いんだけど
物心ついた時からピアノの椅子に座ってた
僕にとってこの椅子は拷問のための椅子
でも、お母さんが怖いから座るんだ
それから2時間ぐらい練習していた
防音室から出るとちょうど双子の兄の真樹が帰ってきた
そう言いながらリビングに入っていった
こんなになんで不仲になったんだろ
いや、元々あんまり話したことない
双子なのに顔も似てないし性格も似てない
--------キリトリ線--------
家に居ても学校に居ても気を張らなきゃいけない
自分の部屋だけが救いだな
スマホを開く
トークアプリを開いて確認してみると
明日の朝資料をまとめるのを付き合ってくれ
っていう内容だった
無理やり学級委員長を押し付けられて
こうやって先生のパシリ
明日は...何あったっけ...
部屋の壁に掛かってるカレンダーを見ると
さっきから文句が止まらない
僕が優勝したって誰も喜ばない
当たり前って言われるだけなんだ
僕がどれだけ頑張っても当たり前
それなのに真樹は少しの努力で褒められてすごいねって
--------キリトリ線--------
ピピピピッ...ピピピピッ...ピピピピッ...
スマホのアラームを止める
布団の中でモゾモゾする
ガチャ
少し低くなった声で起き上がる
お父さん怒ってる...
遅いで洗面所まで来て顔を洗う
歯磨きもして
部屋で制服に着替える
リビングに行く
お母さんがお昼のご飯代を渡してくれる
焼けたパンを持って外に出た
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。