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第1話

恋に盲目な優等生


 私は今日も完璧な優等生を演じている。






 職員室前の壁に貼り出されている3年生の中間試験結果には、「1位 月島旦陽つきしまあさひ」と書かれていた。

女子生徒1
月島つきしまさんすごいよね~!
このままいけば卒業まで不動ふどうの1位じゃない?
女子生徒2
さすがだよね~。しかも、めちゃくちゃかわいいし。
去年の文化祭ミスコンのドレス姿やばかったなぁ~!
女の私でもグッときた!
男子生徒1
俺この前、理科室に忘れた教科書届けてもらったんだよね~!
頭良くて可愛いのに、性格もいいって文句なしだよなぁ
マジで彼女になってほしぃ~
男子生徒2
ムリムリ! お前その時、緊張きんちょうしてまともにお礼も言えてなかったじゃん!


 私と試験結果を遠巻きに見ている人たちの声が聞こえてくる。

河野聡子
月島つきしまさん」は今日も人気ねぇ~


 心の中でガッツポーズをとっていると、さとちゃんが私の頬をツンツンとつついてきた。

月島旦陽
月島旦陽
さ、さとちゃん、そんなことないよ!
ほら、そろそろ教室に戻ろう
河野聡子
そうね~
このままここにいるとファンに囲まれちゃいそうだし


 飽きれ気味のさとちゃんと一緒に教室へ戻ろうとした時、職員室から出てきた担任の先生と鉢合わせた。

担任の先生
お、月島つきしま
帰りのHRホームルームまでにプリント集めといてくれるか?
月島旦陽
月島旦陽
あ、それならさっき集めておきましたよ!
担任の先生
本当か! さすが月島つきしま! ありがとうな
河野聡子
もう、先生いつも旦陽あさひに頼みすぎじゃない?
担任の先生
月島つきしまはしっかりしてるからな、頼りになるんだよ。
おっと、もう予鈴なるな。早く教室戻れよー
月島旦陽
月島旦陽
はーい!




 成績優秀で、同級生や後輩、先生にも好かれている絵に描いたような優等生。

 はっきり言って、気を張り続けていて大変なことこの上ない。


 けど、これも全部、椿つばき先生に見合う女になるため!








 学校から帰った私はまずお風呂で汗を流し、可愛いワンピースに着替えて身だしなみを整える。次に部屋の掃除そうじをして、紅茶を入れるころには……。




    ピーンポーン




 インターホンがり、私はフローリングをすべってしまいそうなほどの急いで受話器じゅわきを取る。

月島旦陽
月島旦陽
はい!
椿湊詞
椿湊詞
家庭教師の椿つばきです
月島旦陽
月島旦陽
は、はい! 今開けますね!(椿つばき先生! 今日もいい声~!)




       ガチャッ




月島旦陽
月島旦陽
椿つばきせんっ、きゃっ!


 玄関げんかんまで走り扉を勢いよく開けた私は、そのままバランスをくずして外に倒れそうになってしまう。

椿湊詞
椿湊詞
おっと、大丈夫か?


 しかし、そんな私を椿つばき先生が抱き止めてくれた。







     。○。○。。○。○。。○。○。



 そのまま椿つばき先生のうでは私の背中へと回され、きつく抱きしめられる。


椿湊詞
椿湊詞
そんなに焦らなくたって、俺は帰ったりしないよ?
旦陽あさひと二人きりの大切な時間なんだからな
月島旦陽
月島旦陽
せ、先生!
ごめんなさい、私早く先生と一緒にいたくて!
椿湊詞
椿湊詞
旦陽あさひ怪我けがしたら俺が悲しいんだ。
もう危ないことはしちゃいけないよ


 そう言って先生は、私の額にキスを落とした。



     。○。○。。○。○。。○。○。







月島旦陽
月島旦陽
椿つばきせんせぇ!! 好き!


 気持ちがたかぶり、先生の胸に顔をうずめながらそう叫ぶと……

椿湊詞
椿湊詞
妄想もうそうくりひろげていないで、さっさと離れろ


 頭を鷲掴わしづかみにされ、ミシミシと握りつぶされそうになっていた。
月島旦陽
月島旦陽
いたっ! 痛い待って! 椿つばき先生ごめっ!!
椿湊詞
椿湊詞
ほら、さっさと部屋いけ。
勉強の時間がもったいない
月島旦陽
月島旦陽
もうっ! もっとやさしくしてよぉ~。
今日も学校で優等生してきたのにぃ~!
椿湊詞
椿湊詞
俺の前ではただの妄想全開もうそうぜんかい少女だろーが。
……はぁ、今日の小テストできたら褒めてやるよ
月島旦陽
月島旦陽
え!? 本当に!?
ちょ、ちょっと早く部屋行こう!
すぐに解く!!


 こうしていつも通り椿つばき先生に乗せられて勉強をする私。

 椿つばき先生を前にすると少し妄想が爆発しちゃうけど、彼女になるために勉強もオシャレも奮闘中ふんとうちゅう!!