椿先生にちゃんと謝ることができた次の日、食欲も戻った私は朝食をしっかりと食べ絶好調で登校した。
しかし、学校に着くと、私が歩くたびに人が後ずさっていき変に避けられた。
椿先生の言う通り、私の変な噂が流れていた。全然気にならないと言ったら嘘になるけど、さとちゃんはいつも通りそばにいてくれる。
今までの私だったら焦っていたかもしれないけど、今の私にはさとちゃんがいてくれるだけで十二分に嬉しい。
学校も終わり、椿先生の授業中にその話をしてみると、先生も「いい友達じゃん。大切にしな」と、言ってくれた。
椿先生とのわだかまりもなくなり、学校でのこともたいした問題じゃない。
そう言って椿先生は鞄に教材をしまい、ドアノブに手をかけた。
私は見送ろうとしてと椿先生の後をついていったが、階段の途中でピタリと先生は立ち止まった。
椿先生はゆっくりとこちらを振り返り、私に手を伸ばした。
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そう言って椿先生は私の手の上に横長の封筒をのせる。
封を開けると、中にはかわいいイラストが描かれた遊園地のチケットが2枚入っていた。
椿先生は仕方なそうな顔をして笑うと、私の頭をわしゃわしゃと雑に撫でた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。