轟木 めりな、胡桃 寧桜、櫻井 心愛の3人は昔から不良として学校内では有名だった。
授業にろくに出ないし、たまに思い出したかのように面倒事を起こす。
タチが悪いのは、3人の親は娘のことに興味が無く、注意する宛がないことだ。
親から1ヶ月に1回送られてくる1万円ほどで1ヶ月を過ごすのだ。
そんな彼女らに同情して手を差し伸べたら最後、手持ちがなくなるまで何もかも搾り取られるのだが。
涼しげな顔で2人にとって残酷なことを言い、しばらくめりなは2人に睨まれたままだった。
2人には聞こえないほどの声で呟く。それは誰に向けて言った言葉なのか。
脅すような声色を出す心愛に息まじりの返事をする。片目を器用に細めながら右手を肩まで上げる。
降参を示す両手をあげるポーズをとり、ため息をつく。しかし、その口から出たのは生意気な言葉だった。
そう言われてしまってはもう何も言えなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!