家族と言ってる割には家族として接してるように思えないめりなを横目に、芽亜はモンブランとミルクしか入っていない紅茶を机の上に置いた。
自分用だ。
外面を取り繕って、対応する。そっちがその気ならそうしてやろう精神だ。
そういう芽亜に気づいているのか否か、めりなは微笑をずっと浮かべている。
そんなめりなの言葉に芽亜は疑問を持つ。
その疑問を持っててもしょうがないからと、芽亜は彼女自身に聞くことにした。
なるほど。芽亜は納得する。それもそうだろう。中学生と言えどまだまだ子供。それがいじめられる原因になったりするかもしれないし。
失礼かもしれないと内心ビクビクしながら聞くと、まるでただ友達…いや、家族と今日の出来事を話しているかのように
というものだから、思わず聞き逃しそうになった。
少し、目が見開いたのが分かる。動揺を悟られないように、と無駄なことを考えながら口に紅茶を運ぶ。
そういう彼女はまだ微笑を浮かべていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!