〖あなたside〗
今日も同じ時刻の電車に乗る。
自然とあの彼を探している自分がいる。
だいたい乗っている場所はわかっている。あ、こんな目で追ってるの気持ち悪いかな……。
今日は、少し電車が混んでて座れなかったので吊革に捕まって立っている。
すると、隣に誰か来る。ふわっと男物の香水の香りがする。
香水の匂いが好みでチラッと横を見ると、あの好青年。
うわー!こんなことあるんだ!きっと彼は昨日会釈した人の隣にいるなんて思ってないだろうし、おぼえてもないだろうけど
ちょっと嬉しくてニヤけそうになる。
わたしより背が高くてスラッとしてて、、チラッとみただけだけどかっこいい。
ああ〜、隣にいるだけなのに落ち着かなくてドキドキしてる。
わたし、この人の事何も知らないけど好きなのかもしれない。
あとひと駅で降りる駅だから、この幸せ癒しタイムは終わってしまう。
電車が止まり、降車する駅だ。彼がドアの方に歩き出す。
降りる駅が同じだから、わたしもドアの方に向かう。
後ろ姿もかっこいい。
見つめてるだけで充分幸せだな〜。
そう思っていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!