〖あなたside〗
フィリックスさんの握る手の力が強くなる。
綺麗な顔がグッと私の耳元まで近づく。
そう囁かれた。
フィリックスさんの熱い視線から目をそらせなかった上に、握られた手もそのまま。
惹かれてるのは否定出来ない。
〖フィリックスside〗
あなたさんに惹かれたのはある出来事からだった。
俺が、給湯室でお湯を沸かしてたんだけど、
お湯を手にかけてしまった。
熱いし、こんなこと初めてでオロオロしていた時
偶然そこを通ったあなたさん。この時も、大量の資料を抱えていた。
その資料を投げ出して、俺のところに駆け寄って来てくれた。
あなたさんが、オロオロしてることに気づいて水道まで手を引っ張って水で冷やしてくれた。
そういって給湯室を飛び出して、ダッシュでどこかへ行ったあなたさん。
薬を持ってきてくれた。
あなたさんにとっては、小さな出来事だったと思うけど俺にとってはすごく嬉しかった出来事だった。
そのおかげであとも残らず綺麗に治った。
後日、お礼を言ったら
満面の笑みで言ってくれたその顔に、俺は恋に落ちた。
今度は俺が落としますね?
END.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!