〖バンチャンside〗
分かってた。
君の気持ちが、少しずつ離れていること。
そして、君に好きな人がいること。
そして、俺は気付かないふりをずっとしていたこと。
ここで、俺は
「嫌だ」そういえば優しい君はきっともう少し俺の事考えてくれるだろう。
悔しくて大人なふりをする俺は本当に馬鹿だと思う。
素直に真っ直ぐ俺の目を見て答える君に、なんの迷いもない。
本当に馬鹿だ。
こう答えて、君が少し悲しそうな顔をしてくれれば……そう考えてた。
地面を見ていた視線をあなたの目に合わせたら
すごくほっとした顔をしていた。
何してるんだろう。
嫌だって言えよ、俺。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!