《あなたside》
被害届を出すにあたって、必要な手続きをしてたら1日がかりになってしまった。
もうこの子は引き下がらなそう。
〜翌朝〜
家まで迎えに来てもらうのはちょっとしんどいので、駅からにしてもらった。
ヒョンジンは、わたしに他愛ない話をしているだけと見せかけてわたしを守ってくれていることに気づいた。
エスカレーター、階段はわたしの後ろにぴったりくっついているし電車に乗る時は、私を座らせるか立つ時は壁際にして、わたしを誰にも触れさせないように立っていた。
わたしは、そんなヒョンジンに少しずつ惹かれていった。
あれから1ヶ月くらい経つ頃だった。
珍しくヒョンジンが改まって、わたしに声をかけてきた。
そう言えば、この1ヶ月ヒョンジンがわたしに軽々しく「好きだ」と言わなくなっていた。
そう言われて「わかった」と返事をした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!