〖あなたside〗
また、だ。
この人に説教されてる。
わたしの一挙手一投足が気になって仕方ないこの人はわたしの彼氏。
わたしが何かすると怒るのだ。掃除をしても、洗濯をしても、料理をしても、粗を探し出して怒り出す。
正直、そんなことで怒る?って言うことで怒る。
まぁただの機嫌で怒ってるんだろう。
別れればいい?本当に。私もそう思う。
別れたいよ。わたしだって。
別れられれば別れてる。別れ話をすると、また怒り出して話をそらすから無理だ。
はぁ……
この状況は変えたいのに……。
どうしたらいいんだろう。
ハッとした。
ここは公園のベンチ。あの空間が耐えきれなくて、買い物に行くと言って家を出てきた。
ぼやーっとしてたら、誰かに話しかけられた。
すこしぶっきらぼうに聞かれた。
よく見ると爽やかな好青年だ。
だけど、なんかすごくしんどそうな顔してる。
おっと、これはまずいのかも。
そういってわたしは自販機に走った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!