第54話

やっぱり
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2018/02/04 01:58
《☆イニ☆side》



☆イニ☆
テオくんに話がある
そう言って俺はLINEでテオくんを呼び出した。



それは、テオくんと、別れるため。



もちろん嫌いになったわけじゃないし
むしろどんどん好きが増していってる。



でもテオくんとの関係を公開してから
明らかにアンチが増えた。



俺が、テオくんの重り。



そんなこと、絶対嫌だった。



実は嘘でした、と動画で言えば
少しは今の状況もマシになるのかな、と。



だから決意した。
テオくん
何?ゲームしたい、
もう何を話されるか察しているはず。



なのにこんなにふざけて気を遣える人。



嫌いになるわけない。
☆イニ☆
…あの、さ、
テオくん
…何
伝えなきゃだめなんだ。



ここで止まったら、意味無いんだ。
☆イニ☆
…俺、
テオくん
別れないよ、じんたんとは。
☆イニ☆
……なんで、
テオくん
だって好きだもん、
そんな可愛いことを言う。



そこを好きになったのに。



今俺は、別れ話を切り出さなきゃいけない。



顔を上げた途端
テオくん
やだ、
そう言ったテオくんに包まれる俺。



こうやって
抱きしめられるのがとても好きだった。



大好きだった。



テオくんの香りと温もり。



本当は手放したくなかった。



そしてテオくんを引き離す。
☆イニ☆
もうだめなの、俺たち、別れなきゃっ
最後まで言いきれなかった。



それはテオくんに、



キス、されたから。



俺は泣いていた。



やっぱり、だめなんだ。



この人じゃないと。



そう思ってしまった。



もう、決意が歪んでしまった。
テオくん
ほら、また、好きになって?
子犬のような目でみてくるから。
☆イニ☆
…もう好きだよ、馬鹿っ
そう言うと嬉しそうな顔をして
テオくんはまた俺を包み込む。
テオくん
もう、離れないで
☆イニ☆
……うん、
ああ、まただ。



俺は自分を通せなかった。



いや、通せなかったんじゃない。



きっと、俺の意思を変えられた。



テオくん、という男に。



別れなきゃいけない、そういう意思から



やっぱり、この人じゃないとだめだ。



そう思うように、なってしまった。



やっぱり俺は



やっぱり、



テオくんだけなんだ。

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