第101話

やりたくて
1,545
2018/05/18 21:36
《☆イニ☆side》






☆イニ☆
..気持ち悪、







お皿の上に乗っている

大好物のはずだったパスタを睨む。






☆イニ☆
たくまこれ食べていいよ







それだけ言って

1人になれる部屋に潜った。







最近食欲が全然ない。







なんなら10kgほど痩せたぐらいだ。







iPodを取り出し

ビジュアル系のバンドをタップする。







最近こういう類の曲が好きだ。







落ち着く、というか、なんというか。







無意識に棚を探る俺。







手に取ったのは細めのニードル。







その先には血が固まっていて

清潔もクソもないだろう。







曲を聴きながら

まだ開けていない軟骨にニードルを当てがった。







この行為も、やっぱり落ち着く。







少しだけチリっとした痛みが感じられて

生きてる、という心地がするから。







いつからこんなふうになったんだろう、

と聞かれたらそれはもう

答えざるを得ないぐらい的確な主因がある。







" テオくんを想いすぎたから "







感情を持つ相手を間違えた。







そんなこと分かっていてもどうしようもできない。







俺がテオくんのことをどう思っていようと

まさか異性なわけでもあるまいし

あっちからしたらどうでもいい。







死ぬか生きるか、ただそれだけ。







だからこうやって生きてる心地を得るのだ。







..なんで愛してくれないの、







たまにそんなありえないことを考える。







いや、その考えを

" ありえない " と思えているだけでマシなほうだ。







普通に考えたら " ありえない " 行為を

無意識にやっていることだってあるんだから。







iPhoneの通知音が鳴り響いて

すぐにそれを手に取る。







ただ画面を見ても

公式からの迷惑メールだった。







1日500通メールしても

1日中電話しても

もう何も言ってこないから。







気がつくとほら、

俺の右手首には赤い線が何本も浮き上がる。







色が白いからか、余計鮮やかに見えるのだ。







この新鮮な血を、テオくんに見せたい。







俺も立派な人間なんだって

俺にもこの感情を持つ資格があるんだって。







聞き手とは逆の右手でカッターを持つと

どうも上手く切り込みが入らない。







練習しておこう、







..って、何考えてんだよ、俺。







我に返ると俺は

また知らない間に涙を流していた。







..全部全部、テオくんのせいだ。






その声を聞きたくなって

もう一度電話を試みる。






テオくん
..何?



.


☆イニ☆
会いたい



.


テオくん
..今は無理



.


☆イニ☆
..なんで?



.


テオくん
無理なんだって



.


☆イニ☆
じゃあせめてずっと電話させて



.


テオくん
いや無理



.


☆イニ☆
..なんでよ、



.


テオくん
..っせーな



.


☆イニ☆
..もっと愛してよ、



.


テオくん
なんなのお前、おかしいよ



.


☆イニ☆
仕方ないか、



.


テオくん
..何



.


☆イニ☆
..俺、テオくんのこと















.




☆イニ☆
殺しに行くね、








.







メンヘラのツイートを参考に作詞してみた
. / あるてぃめっとよにん!

◎ Arrange by ぴぃち .

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