第76話

堕とし穴(My)※Ω
1,970
2018/03/22 06:11
《みやかわくんside》



☆イニ☆
…テオく、ん、起きてっ、
じんたんの、



____多分、じんたんだろう、



苦しそうな声で目が覚める。



まだ意識が微睡んでいる中耳を立てると
テオくんを呼んでいるようだった。



…ヒートか。



甘い匂いが漂っている。



なんだ、まだテオくんの番じゃなかったんだ。



寝ぼけている頭で理解した。



早くテオくん起きてあげればいいのに、



何してんだよ、



そんなんだったら、



俺がじんたん奪うよ?



これは夢なのだろうか、
ありえない思考へ自分が傾いていく。



いや、夢なんかじゃない。



抑えていたんだよ、この感情を。



じんたんの呼吸が荒くなっていくのに比例して
俺の封じていた感情も加速していく。
みやかわくん
じんたん、
寝転んだまま呼んだ。



俺が起きていることに気づいていなかったのか
身体を大きく揺らしてこちらを向くじんたん。
みやかわくん
何してるの
分かってはいるが聞く。



じんたんは本能で
テオくんとは違う " α " を避けているのか
なかなか状況を教えようとしてくれない。



ただ涙目になりながらあたふたしている。
☆イニ☆
…や、あのっ、違くて、
αの弱点を知っていてやっているのだろうか?



そんな姿見せられちゃったらさ
俺、歯止め聞かなくなっちゃうよ?



ヒートで
じんたんの身体が疎くなっているのをいいことに
手を引っ張って俺に覆いかぶさるような体勢にする。
みやかわくん
起きないテオくんのせいだからね、俺のことは恨まないでよ、
今すぐにでも
" テオくん " と叫びそうなじんたんの口を塞いだ。



自分の唇で。



そのままじんたんを回転させて
さっきとは逆、俺が覆いかぶさるようにする。
みやかわくん
あんまり大きい声、出しちゃ駄目だよ
そう言ってじんたんの首筋に顔を寄せた。



いい匂い。



美味しい匂い。



その首筋に歯を立てて、そのまま力を入れる。
☆イニ☆
ぃ、っ、
傷口から流れてくる血に淡さはなく
鮮やかで、艶やかだった。



今の自分がおかしいことは分かっている。



きっと明日の朝になれば後悔だってする。



なんでじんたんを傷つけたんだろう、って。



でもそう後悔するのは、俺の " 理性 " であって。



本当の " 俺 " は、



俺の " 本能 " の中にあるから。



だからこれでいい。



そう、愚かな考えをしてしまう程に



じんたんは俺にとって最大の



____堕とし穴、

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