第44話

炭酸水※
1,991
2018/01/28 11:27
《テオくんside》



テ「じんたん?」



何気なく呼ぶと
iPhoneを弄りながら、んー、とだけ返される。



最近俺らはすごく忙しくて
2人でゆっくり出来る時間がなかった。



それが理由なのか知らないけど
じんたんと恋人っぽいことをしなくなった。



ふとこんなことを考えて急に心が寂しくなる。



そう思っていると
どこかで見た誰かの動画を思い出した。



_炭酸水を口移しするとえっちな気分になる



いいこと考えた、と勝手に自分の口角が上がった。



でも炭酸水なんてないだろうな、と
ダメ元で冷蔵庫の中を覗きに行く。



テ「あったぁ!」



人間は、ないと思っていたものがあると
相当びっくりする生き物のようで
思わず声を上げてしまう。



じ「なんか言ったぁ?」



いつもの声の調子でじんたんが聞いてくる。



テ「ね、キスしよ?」

じ「…え、は?」



こういうのは本当に久しぶりだったからか
"キス"という単語を聞いただけで
じんたんの頬はピンク色に染まる。



じんたんが俺から目を離している隙に
奇跡的にあった炭酸水を口に含んだ。



じんたんの側にしゃがんで
そのピンク色の唇に自分のを重ねる。



久しぶりの感覚。



やっぱりじんたんの唇は柔らかい。



本当はその久しぶりを楽しみたかったが
口に含んでいる炭酸水を
ちょっとずつじんたんの口内に送る。



じ「んっ、」



まさか炭酸水を入れられるとは
思っていないじんたんは顔を離そうとした。



その反動で口の端からちょっとだけ零れる。



じんたんの頭をそっと抑えてそれを防いだ。



やっと全部
じんたんの口に移したところで顔を離す。



じ「ばかっ、何やってるのっ」



口の端についた炭酸水を手の甲で拭うじんたん。



その行動だけでも
すごく色っぽく見えてしまって。



真っ赤な顔のじんたんにもう1度キスを落とす。



今度は深めの。



じ「んぅっ、…んっ、」



じんたんが応えるように俺の服を握る。



この感覚さえも久しぶりで
思わず激しくなってしまう。



じ「…っ、はぁっ、」



唇を離すと肩で息をするじんたん。



テ「…今日は久しぶりに、楽しもうね」



眉毛を八の字にしているじんたんを見ると
心臓あたりがきゅうっ、と締まる。



俺のつまらない人生を変える。



じんたんの存在はきっと
俺にとって刺激的な存在なんだ。



そう、まるで炭酸水のように。

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