第13話

弱点
2,584
2018/01/22 13:42
《☆イニ☆side》



テ「いってきます」

じ「いってらっしゃい、」



__ガチャ、



ドアが閉まる音がした瞬間
自分の頭と腰あたりに違和感を感じる。



触ってみると



じ「…また、」



鏡の前に立つと見えるのは
自分の頭から生えている犬耳。



そして後ろを見ると尻尾まであった。



この世界の人類には、" 人間 "と" 半獣人 "の
二種類があった。



もちろん人間がその人類を9割は占めている。



その中の1割。



それが俺。



半獣人が生まれるのは遺伝じゃなくて
確率らしい。



もちろんこのことはテオくんに話していない。



テオくんは普通の人間だからだ。



最近、犬耳を上手くコントロール出来ない。



前までは何もしなくても出てこなかったのに
最近は気を抜いた時に、ピョコっと現れてくる。



今までどうやってしまっていたかも
どうやって出していたかも忘れてしまった。



じ「…とりあえずテオくんの前では出さないようにしないと。」



自分にそう言い聞かせた。



テ「ただいま~」



数時間後、帰ってくるテオくん。



その頃にはもう犬耳も消えていた。



そして何気なく撮影をして
編集をして、いつものように帰ろうとする。



テ「え、じんたんもう帰るの?」

じ「うん、今日おかん来るし。」



え~やだ~と駄々をこねるテオくん。



いつもはかっこいいけど
こういう風に寂しがり屋なのはかなりのギャップ。



可愛い。



本当は一緒にいてあげたいけど
流石にお母さんの約束をほったらかすと
後々怖いことになる。



じ「明日また会えるから、ね?」



テオくんをなんとか説得して家に帰った。



そして、数時間後。



結局、今俺が立っているのは



スカイハウスの前。



テ『パソコン忘れてるよ』



とLINEで言われたのだ。



流石に夜1日編集できないのは痛いので
お母さんと別れ、スカイハウスに行くことにした。



じ「ただいま~」



スカイハウスに住んでるわけじゃないのに
癖でただいま、と言ってしまう。



じ「うあっ、」



玄関に入るなりびっくりするほどのスピードで
俺に抱きついてくるテオくん。



じ「テオくん動けない」



テオくんがどくのを待つが全く動く気配がない。



テ「…じんたん頭、」



キョトン、とした様子で俺の頭を見ながら呟いた。



恐る恐る頭に手をやる。



ふわ、とした感触。



テ「犬耳、」



必死にテオくんから離れる。



じ「や、これは、違くてっ、」

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