第92話

使い捨て
1,421
2018/04/19 10:14
《☆イニ☆side》







2017年10月27日。







昨日から

久しぶりのテオくんとのお泊まりだった。







いつもは忙しくて

でもどこか退屈な朝だけど

今日は何故か清々しい。







それもこれも

全部テオくんのおかげなんだろうけど。







おかげ、と言っても

テオくんが俺のために何かをしてるわけじゃなくて

俺が一方的に抱いている感情が

きっと自分自身のキャンバスを色づけている。







でも今日は







憂鬱な日でもあった。







出来れば来て欲しくない日だった。







22歳の誕生日。







それは

" クローン人間 " が紛争地帯へ送られる日。







地雷除去のためだけに。







そう、俺はクローン人間だった。







今のお母さんやお父さんも

養子縁組だったらしい。







" クローン人間 " は

人間の手によって作られた人間。







考えてみればおかしな話だ。







だけどそれが

当たり前になってしまう時代なのが今。







普通の人間に紛れ込むために

" 感情 " という項目まで忠実に再現している。







それが、この世界の " 人間 " が犯したミスだった。







クローンに感情なんていらないじゃないか。







感情なんてものがあるから

" この日 " までに作った思い出が愛しくなるし

辛いことだって感じるし

" 恋愛 " というものを知っちゃうんだ。






テオくん
おはよ、







その声を聞くだけで

胸がトクンとなるのもそのせい。







本当は行きたくないけど

行かなければならない。







本当は伝えたいけど

伝えてはいけない気がして。







何故か姿を見ただけで泣きそうで

絶対に叶わない恋だとわかっていても

呆気なく終わってしまうのが辛くて、悔しくて。







最後は泣かないつもりだったのに

勝手に俺の涙腺がほどけていくから。






☆イニ☆
ちょっとコンビニ行ってくるわっ






最後の会話なのに

最後だとバレないように。






テオくん
んぁ…ん、あれ買ってきて、牛乳







そんな小さな約束だって






☆イニ☆
わかったわかった、行ってきます






俺は守ることすらできない。







ねえ、テオくんは気づいてくれたかな、







俺の最後の精一杯の嘘。







俺、iPhoneも財布も

何も持っていかずに出てきちゃったよ、







本当はコンビニじゃないのかな、って

ちょっと心配してくれたりしないかな、







そんな悲しすぎる俺の願いは

きっと叶うことはないんだろうけど。







あ〜あ、眠くなってきちゃったよ、







ベンチに座って

また遠い眠りにつかなきゃなあ、






☆イニ☆
ばいばい、テオくん







.







.






☆イニ☆
…わ、







ひとがいっぱいいる。







ぜんいん、クローンにんげん?







テントのなかからのぞいてると

そとではきたないはなびがいくつもさいている。







そのたびあかぐろいえきたいがひろがって。







じらい。







こわいなあ、







でもやるしかないから。







おもたいこしをもちあげて

じぶんのいしではないのに

あしがかってにうごいていく。







ほら、またまえで

おれとはちがうクローンにんげんが

きたないはなびをさかせている。







どこにじらいがあるかなんてわかんないから

あてもなくあるいて、

あてもなくじめんをほって。







こんなときでもテオくんのことをかんがえる。







いま、なにしてるのかなあ、







おれがかえってこなくておこってるかなあ、







あいつなにしてんのって

おこってるけどしんぱいしてくれて

さがしにいってくれてたりするのかなあ、







こんなところにきても

なみだがとまらないや。







でもしょせん、おれはクローン。







クローンにんげんは

" 命 " であり " 命 " ではないにんげん。







ようするに

つかいすてにんげん、というわけだ。







いみをなさないかぎり

こいつはつかえねえってすてられる。







またいっぽふみだすと

からだのなかから

じぶんがはじけるかんかくにおちいる。







いたい、いタい、イたい、







もうおれは

つかえないにんげんになっちゃったの?







じぶんのかンじょうにすなおになレないまま

しんじゃウの?







やだよ、そんなの、







もうなにもみえないけど

きっとはなびがさいているんだろうなあ、









テオくん、こんなはなびでも

きれいだねっテほめてくレるかナ、







おれのかんじょうは







おれがてオくんにいだイたかんじょうは







____つかいすテなんカジャなイノニ、







.







.







そろそろ馬鹿じゃねえのって

言われそうな作品ですねこれ???

書いてて自分でもアホじゃんって思いました、

でもなんか今日理科の授業があって

細胞より小さい " ナニカ " からなる

" クローン " の話になりまして

クローン人間ができた時の利点について話した時

1人の生徒が " 紛争地帯の地雷除去! "

と言ったんですね、

その時に先生が " 命であり命でない存在だからね "

とおっしゃっていたのがなぜか心に響いて…

クローンってめちゃめちゃ切ないな〜って

思ったんですよね(?????)

もうなんか本当にスミマセンね

こんな作品ばかり正直飽きましたよね

そろそろ長編書いてリクエスト消化します

(そろそろ)

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