《☆イニ☆side》
2017年10月27日。
昨日から
久しぶりのテオくんとのお泊まりだった。
いつもは忙しくて
でもどこか退屈な朝だけど
今日は何故か清々しい。
それもこれも
全部テオくんのおかげなんだろうけど。
おかげ、と言っても
テオくんが俺のために何かをしてるわけじゃなくて
俺が一方的に抱いている感情が
きっと自分自身のキャンバスを色づけている。
でも今日は
憂鬱な日でもあった。
出来れば来て欲しくない日だった。
22歳の誕生日。
それは
" クローン人間 " が紛争地帯へ送られる日。
地雷除去のためだけに。
そう、俺はクローン人間だった。
今のお母さんやお父さんも
養子縁組だったらしい。
" クローン人間 " は
人間の手によって作られた人間。
考えてみればおかしな話だ。
だけどそれが
当たり前になってしまう時代なのが今。
普通の人間に紛れ込むために
" 感情 " という項目まで忠実に再現している。
それが、この世界の " 人間 " が犯したミスだった。
クローンに感情なんていらないじゃないか。
感情なんてものがあるから
" この日 " までに作った思い出が愛しくなるし
辛いことだって感じるし
" 恋愛 " というものを知っちゃうんだ。
その声を聞くだけで
胸がトクンとなるのもそのせい。
本当は行きたくないけど
行かなければならない。
本当は伝えたいけど
伝えてはいけない気がして。
何故か姿を見ただけで泣きそうで
絶対に叶わない恋だとわかっていても
呆気なく終わってしまうのが辛くて、悔しくて。
最後は泣かないつもりだったのに
勝手に俺の涙腺がほどけていくから。
最後の会話なのに
最後だとバレないように。
そんな小さな約束だって
俺は守ることすらできない。
ねえ、テオくんは気づいてくれたかな、
俺の最後の精一杯の嘘。
俺、iPhoneも財布も
何も持っていかずに出てきちゃったよ、
本当はコンビニじゃないのかな、って
ちょっと心配してくれたりしないかな、
そんな悲しすぎる俺の願いは
きっと叶うことはないんだろうけど。
あ〜あ、眠くなってきちゃったよ、
ベンチに座って
また遠い眠りにつかなきゃなあ、
.
.
ひとがいっぱいいる。
ぜんいん、クローンにんげん?
テントのなかからのぞいてると
そとではきたないはなびがいくつもさいている。
そのたびあかぐろいえきたいがひろがって。
じらい。
こわいなあ、
でもやるしかないから。
おもたいこしをもちあげて
じぶんのいしではないのに
あしがかってにうごいていく。
ほら、またまえで
おれとはちがうクローンにんげんが
きたないはなびをさかせている。
どこにじらいがあるかなんてわかんないから
あてもなくあるいて、
あてもなくじめんをほって。
こんなときでもテオくんのことをかんがえる。
いま、なにしてるのかなあ、
おれがかえってこなくておこってるかなあ、
あいつなにしてんのって
おこってるけどしんぱいしてくれて
さがしにいってくれてたりするのかなあ、
こんなところにきても
なみだがとまらないや。
でもしょせん、おれはクローン。
クローンにんげんは
" 命 " であり " 命 " ではないにんげん。
ようするに
つかいすてにんげん、というわけだ。
いみをなさないかぎり
こいつはつかえねえってすてられる。
またいっぽふみだすと
からだのなかから
じぶんがはじけるかんかくにおちいる。
いたい、いタい、イたい、
もうおれは
つかえないにんげんになっちゃったの?
じぶんのかンじょうにすなおになレないまま
しんじゃウの?
やだよ、そんなの、
もうなにもみえないけど
きっとはなびがさいているんだろうなあ、
テオくん、こんなはなびでも
きれいだねっテほめてくレるかナ、
おれのかんじょうは
おれがてオくんにいだイたかんじょうは
____つかいすテなんカジャなイノニ、
.
.
そろそろ馬鹿じゃねえのって
言われそうな作品ですねこれ???
書いてて自分でもアホじゃんって思いました、
でもなんか今日理科の授業があって
細胞より小さい " ナニカ " からなる
" クローン " の話になりまして
クローン人間ができた時の利点について話した時
1人の生徒が " 紛争地帯の地雷除去! "
と言ったんですね、
その時に先生が " 命であり命でない存在だからね "
とおっしゃっていたのがなぜか心に響いて…
クローンってめちゃめちゃ切ないな〜って
思ったんですよね(?????)
もうなんか本当にスミマセンね
こんな作品ばかり正直飽きましたよね
そろそろ長編書いてリクエスト消化します
(そろそろ)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。