第70話

かまちょ
1,638
2018/03/03 05:53
《テオくんside》



☆イニ☆
ねえテオくん?
横からその声と共に視線を感じるが
いつものようにカラ返事をしてiPhoneに集中する。
☆イニ☆
もう知らないからね!
ここもいつもと同じ。



そう言ってただじんたんがいじける。
☆イニ☆
俺くーと遊ぶもん
しまった。



今俺らがいるのはじんたんの実家。



ということはじんたんが大好きな猫がいるわけで。



じんたんが部屋のドアを開けると
既に待っていたかのように入ってくるくーちゃん。
☆イニ☆
くー!
じんたんがくーちゃんを呼ぶと
俺なんていないかのようにじんたんに駆け寄る。



くーちゃんをひょいと抱き寄せて
俺の横に座ってきた。



どれだけ喧嘩してもそれだけは変わらない。



ずっと俺の横にはじんたんがいる。
☆イニ☆
ほら、くー!こっち!
餌になるようなものを持ってきたのか
俺の膝やら肩やらにくーちゃんを寄せ付ける。



餌を求めるくーちゃんは
俺の足の上に飛び乗ってきて肩に顔を近づけた。
テオくん
やめろおっ、
思わず及び腰な声が出る。
☆イニ☆
そんなに猫嫌いなの?
俺からくーちゃんを離しながら言った。
テオくん
嫌いじゃない怖いだけ
ふーん、と自分から聞いたことに
もう興味をなくしてくーちゃんと遊んでいる。
☆イニ☆
可愛いな〜、えくしっ、
独特なくしゃみ。



じんたんも猫アレルギーだ。



そんな辛いなら離れればいいのに、と思う。
テオくん
いつまでくーちゃんと遊んでんの?
んー、と曖昧な返事で
相変わらずくーちゃんに顔を埋めていた。



ふと何かを思い出したように起き上がり
くーちゃんは少し開いていたドアから出ていく。



名残惜しそうに見つめるじんたん。
テオくん
引き止めないのね、
☆イニ☆
だってテオくんがうるさいんだもん
返ってきたのは意外な返事だった。
テオくん
は?だから猫怖いだけだって
☆イニ☆
かまちょだ?
ニヤニヤしながらそんなことを言ってくる。



なんかちょっと気に入らない。
テオくん
駄目かよかまちょで
じゃあかまってって言えばいいじゃん、と
人差し指でツンツンツンツンしてきた。



へえ、いい度胸してんな、
☆イニ☆
わ、ちょ、
肩を押すと簡単に倒れるじんたん。
テオくん
…じゃあもっとかまってよ、
そんなすぐに押し倒されるようじゃ駄目だよ、



ま、強くなってもらっても困るんだけど。
テオくん
スイッチ入れたの、じんたんだからね、

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