第104話

タイプ
1,418
2018/07/14 10:32
《☆イニ☆side》







今日は俺らが初々しかった頃の話をしようと思う。







あれは確か

お互いの気持ちが

やっと通じ合ってから間もない頃だ。






テオくん
じんたん、ここ来て、ここ







少々アルコールに侵されていて

頭がうまく回っていないようなテオくんが

自分の隣を叩いて俺を呼んだ。






☆イニ☆
どうしたの







言いながら近くに寄ると

眠い、と肩に頭を預けてきた。






☆イニ☆
寝なよ







ぽつん、といつものように返すと

返事はこない。







もう寝たの、と顔を覗き込むと

目を瞑っていた。







少し茶色い長いまつ毛。







惹き込まれるようなその顔は

見ているだけで満足だった。







…と、






テオくん
今見惚れてた?







とろん、と目を開けて無邪気にいう姿と

からかわれた恥ずかしさで、赤面する。






テオくん
じんたんって猫派だったよね







急にこんな話になったため

うん、と間の抜けた返事しかできなかった。






テオくん
じゃあ俺ら相性ピッタリだね







テオくんってそういうの信じる人だったっけ、と

少し疑問に感じるが

酔っているので仕方ないのかもしれない。






☆イニ☆
うん、なんの?







会話を続けるために言った何気ない一言。







すると、






テオくん
身体の、







と言って

気づいたら俺は、テオくんに押し倒されていた。







付き合って以降、こんな雰囲気になったことはない。







ましてや

" それなりのこと " なんて

したことがあるはずなかった。







いつもより鋭いような眼で見つめられて

それだけで " そういう気分 " になってしまう。






テオくん
犬派の人って、相手を服従させて支配したいタイプなんだって







これはきっと自分、

要するにテオくん自身のことだろう。






テオくん
猫派の人は好きになった人の全てを受け入れるタイプ







何故か饒舌に話すテオくんには

今までで見たことのないような色気があって。







テオくん
…好きだよ







その声が聞こえた時には

既に目をぎゅっと瞑っていて

それなりの覚悟をしていた。







テオくん
…期待しちゃった?







身体のどこにも触れることなく

テオくんがまたからかうような声を出した。






テオくん
まだしねーよ、







まだ大きく響いて鳴り止まない鼓動が

俺の体温を上げている。






☆イニ☆
…俺じゃ嫌なの?







咄嗟に、と言うより無意識に

そんなことを言っていた。






そんなんじゃねーよ、と

また笑いながら目を擦るテオくん。






テオくん
じんたんのペースに合わせるよ







テオくんはそんなことをかんがえてくれていたのに

早とちりしていた自分が少し恥ずかしい。






テオくん
別に今やってほしいなら歓迎するけど







ふざけたことを言いながら

こんなに気を遣える優しさを持っているのは

テオくんのいい所だった。






☆イニ☆
…いい、寝るっ







ごめんって、と

後から抱きついてきたテオくんのことを







きっと俺は、嫌いになることが出来ない。

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