《☆イニ☆side》
____ザーーーーーーー ッ..
雨の日は嫌いだ。
耳の穴にまとわりついてくるような音に
焦燥感を煽られるから。
無駄なくらいに綺麗で " 小汚い " 窓に目をやると
呆気ないぐらい強く
叩きつけられる雫が俺の視界を塞ぐ。
上から流れてくる小さなひとつの雫が
以下にある雫を拾って
スピードを速くしていってしまった。
流れ作業のような一連の動作。
それが俺を憂鬱へと導く。
今にも叫びだしそうな空が
機嫌を悪くして泣いてしまっている。
晴れの日も嫌いだ。
太陽が差し込んで
日照ったアスファルトの香りが妙に暖かく
呆気なさだけを残していくから。
無駄に透き通った " 小汚い " 空に目をやると
どこまでも遠くの方の雲が
俺の存在を、見下しているような気がして。
命があるような雲は
たったひとつだけ早く空を動き回って
同じ雲をも見下す。
これも全部、流れ作業。
今度は俺を、孤独へと導く。
今にも大笑いしそうな空は
いつまでも、俺を覗いている。
曇の日は、そんなに嫌いじゃない。
宝物が手に入った日だから。
いつもは聞きたくもない鳴き声が
その日だけは心地よい耳触りだった。
無駄に潤った " 小汚い " 地面に目をやると
鮮やかに色づいたものが
俺の視界を塞ぐ。
土を割って出てくる雑草が
俺を強くしてくれるような気がして。
流れ作業なんかじゃない。
俺を、誘惑へと導く。
でもこの世で1番嫌いなのは、
自分自身だ。
ありえないほど甘ったるい泣き声で
オスに求愛をするメスのようだから。
無駄なくらい清潔で " 小汚い " 手に目をやると
微かに震えていて
まだあの時の感覚が残ってしまっている。
どんどん溢れてくるこの " 異常な " 気持ちは
止まることなく大きさを増して
" テオくん " という大切な人に脅威を振るう。
流れ作業では出来ないはずの行為を
難なくこなしてしまった。
それが俺を、優越へと導く。
今にも逃げ出しそうな " 重い個体 " が
泣き出してしまった空の下で、横たわっている。
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◎ 🤓🐰りぃり😎🐴 様リクエスト .
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リクエストありがとうございました◎
ふきだし一切なくて申し訳ないです。
今回は " シリアス " というリクエストだったので
こういうふうなお話を書かせていただきました◎
実は作者シリアスの意味そんなに知りません(散れ)
今回は理解に苦しむ方がいると思うので
あまりやりたくなかった解説をいれようかと…
長くなるので飛ばすのも可です◎
正直 " 雨の日 " " 晴れの日 " に関しては
ただの文字数稼ぎです。
少し関連づけましたが。
注目してみてほしい(そうでもない)のは
" 曇の日 " と " 自分自身 " です◎
しかも特に1番わからなかったと思います。
解説を見ずに理解できた人は
なんでも買ってあげるのでぜひ教えてください(嘘)
" 宝物が手に入った日 "
これは皆さん分かる通り " テオくん " のことです。
" 手に入る " というワードが分かったら
もう既に理解できるかな、と。
" いつもは聞きたくない鳴き声 "
これはテオくんの死に際の必死な叫び。
先に " 死ぬ " というワードを出してしまいましたが
じんたんはやはりヤンデレキャラでしたね(失礼)
" 鮮やかに色づいたものが "
血です。単純明快。ワロタ。
そして " 自分自身 " 。
もともと解説はつけない予定だったので
ここで理解してもらうつもりでした。
オスメスのくだりは多分分かりますよね(ね?)
" 綺麗だけど小汚い手に残るあの時の感覚 "
(少し文は変えたので注意)
これは血がついた手を洗い流して清潔になった手。
しかし " イケナイ " ことを犯してしまった手。
" あの時 " はテオくんを殺してしまった時。
" 今にも逃げ出しそうな重い個体 "
これはテオくんの遺体ですね。
ここで浮かぶ疑問、
テオくんを犯した(人命的な意味で)のは曇りなのに
なんで " 泣き出してしまった空 " の下なのか。
それはじんたんが我に戻ってしまった、
ということを伝えたかったんです伝われ。
何年やってても小説は難しいな〜、
ここまで読んでくれた人はどれくらいるんだろう、
大好きだよ(?????)
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!