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第118話

モノクローム※Ω5
1,811
2018/10/21 02:20
《☆イニ☆side》







「ん…わ、」







緩く鈍る脳が覚醒し、ゆるゆると繊維の摩擦の音が聞こえてくる。







ズクンと痛む頭を抱え重たい瞼を押し開けると、そこには丁寧に布団に包まれている俺を映す大きい鏡、だけが佇んでいて。







無性に肌寒く感じて布団に潜る。







…彼は……テオくんはもう、帰ったのだろうか。







きっと俺の身体がこんなに綺麗なのも、彼がしたことで、彼なりの優しさだ。







俺とは反対側に置いてあった枕を寄せると、まだあの懐かしく感じる匂いと…温もりが残っていた。







昨日思い出してしまった感情がまた心を飽和させて、思わずその枕を抱き締める。







何の媒質を通じて…なのか、自分の心臓の音が鼓膜の奥深くをつついてきた。







……もうテオくんには会えないのだろうか。







連絡先、聞いておけばよかったな、禁止だけど。







昨日ほど快楽に溺れた日は、この店に来てから初めてと言えるほどで、不覚にも意識を飛ばしてしまった。







のらりくらりと自己嫌悪に浸る。







時計を見ると閉店間際だった。







…また1から探し始めなければいけない。







やっと1歩進めた、と思ったんだけど。







もう少しこの枕に巻きついていようと思ったのは、彼に対する気持ちが儚いから、という訳では無い。







……はずだ。

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