第27話

所有物
2,081
2018/01/24 10:01
《☆イニ☆side》



最近、コメント欄でよく書かれること。



『なんか2人に距離がある気がする』



それは俺も思う節がある。



別居の話は2人で相談して決めたのに
本当にするとなると不安で、心細くて。



俺には友達が同居人として一緒に住んでいるけど
それでもいつも隣にいたテオくんがいないと
すごくすごく寂しい。



俺でもこんなに心細いのに
あんなに寂しがり屋なテオくんは
もっと心細いんだろうな、と思う。



寝る前のふとした時に
テオくんの温もりを思い出してしまって。



そしたらもう
会える日が待ち遠しくて堪らなくなるのだ。



だけど段々、会える日も少なくなっていく。



テ「もう帰っちゃうの?」



悲しそうな顔をして
そんなことを言うテオくん。



じ「うん、このあとまだ用事あって、」



ちょっと待って、と呼び止められる。



すると、ておくんがふわ、と抱きついてきた。



途端に広がるテオくんの匂い。



テ「…なんか嫌だ」

じ「何が?」



聞いても黙っていて、抱きしめるのをやめない。



じ「そろそろ時間、」



そう言って離そうとしたら



テ「…だって嫌じゃん、好きな人から違う男の匂いすんの」



じんたんを全部俺に染めたい、
とテオくんは呟いた。



じ「…染めてよ、」



そこまでされると
もうどこにも行きたくなくなってしまう。



今すぐテオくんの背中に手を回して
抱き締め返してあげたくなってしまう。



テ「…今日はこれで我慢する、」



首筋に何度か伝わる、チリっとしたような痛み。



テ「これでじんたんは、俺だけの所有物。」

じ「うん」

テ「…ん、」



次はテオくんが
自分の服の襟に指を引っ掛けて
鎖骨らへんをあらわにする。



テ「じんたんもつけて」



俺はテオくんに所有印をつけたことは
滅多にない。



慣れない場所に、慣れない所有印を刻んだ。



テオくんは満足したように襟を戻す。



まだ少し感覚が残る首筋から感じた。



どんなに離れてたって、俺たちは、お互いの



__" 所有物 "。

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