第110話

五月蝿い※Ω
1,928
2018/08/05 16:48
《テオくんside》






☆イニ☆
ちょっとたくま〜、







画面の中で笑う、







俺を嗤う、彼は。







哀しみや憂いなんて知らないように、

そんな影も見せずに、

可愛い可愛いと謂われ慣れてしまっている。







醜く汚れて腐ったその顔。







もう首にフォークを突き立てたいよ。







ふと自分の首筋に手をやる。







まるで既に彼に突き立てられたように、

凹凸がある皮膚が俺の指を掴んで離さない。







俺もこんなふうに支配できたらいいのに。







愛してみたい。







ああ、死体になった彼を見たい。






テオくん
…ごめんなさい、







自分の醜さを恥じて

お願い捨てないで、と髑髏を垂れながら

手を合わせて生きてきたのに。







今更馬鹿みたい。







もう起こせないヒート。







いや、もう起こさなくて済むヒート。







そんな自分が彼を見ると

どうやら世界で一番汚れていないのは

俺なんじゃないかとまで思ってきたりするけど。







まあ生憎そんな洗脳的な事しなくても

自分のことは大切に出来てるし

もう彼なんて要らないよ。







こんな複雑すぎる世界なのに

彼を裁く法律が無いなんて

なんて理不尽な場所なんだろう。







代わりに俺が罰してやろうか、







なんて言う訳ないだろ、

わざわざこいつの為に自分の手は汚さない。







彼に囁いた言葉。







死んでしまって行き場の無くしたそれは

早く成仏してしまえばいい。







ましてや彼の身体の中に解き放った欲と愛情を

今すぐにでも取り返したい。







お願いだから、

可哀想で泣きそうだから。







空が蒼いように、

そして春が終わって華が散るように、

俺は彼が嫌い。







それ以外に説明なんて出来ない。







それが当たり前だから。







もちろん彼が主演の映画に出るとしたら

俺は最強で最悪の悪役。







むしろ俺にしかできない、

俺のためにあるような、そんな存在。







じゃないと映画は、







じゃないと人の人生は、成り立たないじゃん。







そうやって生きて行くんでしょ。







始まりも終わりも、

彼が俺にとって初めての " 宗教 " だ。







俺は彼を許さない。







何があっても許さない。







またあの時みたいに、







彼が情けなくΩに襲われて、








身ぐるみ全部剥がされて、







レイプされてポイってされて、







例え途方に暮れたって許さない。







無差別の通り魔に刺されて、







愛みたいに腑が溢れて、







血反吐を吐いて助けを求めてきても許さない。







もしそうなったらどうしようか。







その横を大好きな音楽を聴きながら

そして口ずさみながら

スキップしたり、彼の腑で縄跳びしたりするんだ。







また俺みたいに誰かを捨てたとして

彼の愛する子供がこう言うんだ。






__ . .
私お父さんの子になんて産まれなきゃ良かった







その言葉に彼の顔が歪むのを見て優越に浸るんだ。







そして俺が颯爽と傍に寄って

全てを知ったこの両の手で彼の子を包む。







全てを支配できる瞬間。







優しい声で囁く。






テオくん
…君は悪くない、何も悪くないんだよ







.







一見テオじんに見えるこのお話。

一応じんテオとして書かせていただきました。

所々の表現でわかると思いますが、

このお話ではオメガバースを取り扱っています。

そしてあろう事(?)か、

じん ( ‪α‬ ) × テオ ( Ω ) 設定。

テオくんの首の傷から、

もう既に誰かの番になっていることが分かります。

または、捨てられているか。

今回は後者ですね。

でなきゃこんなに恨んだりしませんもん。

もちろん相手はじん。

途中でテオくん(Ω)がじんくん(‪α‬)を犯した、

という描写がありましたが

あくまでも物語上の演出であり

むしろ男同士でのオメガバースだからこそ

出来ることもあるわけで…(長くなるので割愛)

もうこれ以上何も言わないので

自己解釈をお願いします( ; ; )

とりあえずRADWIMPSの " 五月の蝿 " 。

聴いてみてください、

いい曲、の部類ではないんだろうけど…

なんか凄い考えさせられるので。

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