第30話

俺の前で毒を飲むな
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2019/10/03 12:25
爆豪 勝己
お前が何モンだかわかった気がするわ
あなた

え?

爆豪 勝己
どんな生き方してきたか知らねぇけど、「またそうなりたくない」って、今が崩れないように周りの顔色ばっかり気にしてる
爆豪 勝己
だから、相手に嫌な思いをさせたくないから自分ばっかり毒を飲む。
爆豪 勝己
それが今のお前の正体だ
と、淡々と話す爆豪くん。
こんなに冷静な人だったんだ...(失礼)
あなた

...そう..なのかな

爆豪 勝己
まぁ、お前を背負いで保健室まで行くのは遠回りだ。
あなた

え、じゃぁ、迷惑だ ( (

爆豪 勝己
でも、迷惑じゃねぇ。
あなた

.....

''迷惑じゃない''
そう言ってくれた爆豪くんに驚いた。
ずっと嫌な顔をしていたように見えたから。
あなた

....ありがとう

冗談だったとしても、そう言ってくれたのは私にとって凄く嬉しいことだった。
あなた

あの、質問してもいいですか

爆豪 勝己
あ?
あなた

爆豪くんは、何をされたら迷惑だって思う?

爆豪 勝己
...邪魔された時
あなた

なるほど

私は、人付き合いを始めてまだ2ヶ月

相手が何を考えてるかなて全部理解出来はずがない。

みんなは私より何百倍も人と接してきた。
まず私はそこから遅れを取り戻さないとな...

爆豪くん、そんな私を見透かしてフォローしてくれたのかな?
あなた

なんか不思議だな...

あなた

爆豪くん、
もっと...怖い人かと思ってた

爆豪 勝己
...普通の奴だったらこんな事しねぇよ
あなた

??

私が普通じゃないって事なのかな?

まぁ、普通じゃないかもだけど...





気がつけば校舎の中を歩いていて、
もうすぐ保健室に着くところだ。

結局、最初から最後まで運んでもらってしまった。
爆豪 勝己
...燈立
あなた

はい?

爆豪 勝己
お前はもう少し人に甘えることを覚えろ
爆豪 勝己
それと俺の前では、毒を飲むな
あなた

え...?

爆豪 勝己
着いたぞ
爆豪くんは保健室の前まで来ると、
私をゆっくり下ろしてくれた。

爆豪くんの背中は、
暖かくて、広くて、優しかった。

こんな風に私に接してくれた人は、
初めてかもしれない。


少し名残惜しい気もする...なんて。
あなた

爆豪くん..あの、ありがとう!

爆豪 勝己
おう
教室へ向かう爆豪くんにお礼を言うと、
小さな声だが声で返事をしてくれた。

それに、初めて名前で呼ばれた...?




あなた

嬉しいな....

突然、体全身の力が抜け

バタ....

私の記憶はここで途絶えた。





*☼*―――――*☼*――――


リカバリーガール
まだなんとも言えないが、恐らく何かの毒の症状だね
相澤先生
毒...それで燈立は大丈夫なんですか?
リカバリーガール
量が少なかったからか、症状は重くないよ
目を開くと、白い天井に消毒液の匂い。

リカバリーガールと相澤先生の話し声も聞こえた。

(毒...?)

ベッドの周りはカーテンで仕切られており、2人の姿は見えない。

そして私の右腕には包帯が巻いてあった。
そっか、刺されたんだ

それで爆豪くんに運んでもらって.....

どうなったんだろ__?

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