第4話

地獄の幕
159
2019/04/17 08:39
突然のことに、私はただ固まるだけだったー。

2人の女子中学生は、焦る顔から笑顔に変わり…優衣に近づいた。

優衣も離れようとはしなかった。逆に微笑み返していた。


そんなやり取りを…私は下から見つめているだけだった。




ゆ、……優衣…??
理解ができない私に気がついたのか…優衣は、こっちに見下し…嘲笑うのように口角を上げた。
「突然の事でびっくりした〜?‪w」
いつもとは違った低い声。冷たい目。

その全てが…私の心の傷を深く刺し潰すのだ、
「ど、どういうこと…?」
心のどこかで…これは演技だ。

それとも、夢なのかもしれない。綾人から振られた所から…夢だったのかもしれない。


夢ならば…今すぐ覚めて…


…そうと願っていた。
まだ信じて…いい方向を期待している私をどん底にちゃんと落としさせるかのように優衣は、

私の肩に…足を載せた。
「全部…現実だよ!♡」
怖かった。優しい優衣じゃない。

まるで…化けの皮が剥がれたみたいだった。
「ゆ、優衣…私達、親友だよn……」
次の瞬間、息が出来なくなって…口を開いたらそこから空気が漏れて…クソまずい味が入ってきた。

目を開くと、ぼんやりとしている狭い所。

黒い穴が見える…。


苦しい…息が出来ないよ!

手足をバタバタすると、顔を引き上げてくれた。
顔は、びしょびしょに濡れていた。
…そう、トイレの中に顔を押し締められたのだ。
「汚っ‪w‪w」


「もっとやっちゃえ!‪w」


笑い声が耳に入る。
「ゆ、優衣…私達…親友じゃなかったの?」
泣きそうな顔で振り返り…私の頭を掴む結衣を見つめる。
「そんな目で見ないでくれる?腹立つ‪w」
その言葉と共に、痛々しい音が響いた。


左頬がヒリヒリと痛い。少し熱くなることから、赤くなっているのだと分かった。
もうどん底に落とされて…絶望だった。

真っ暗だ。

なんも見えない。希望の光さえもない。
「親友…だよね…?」
それでも諦めないで…声をかける。

しかし、優衣は奴隷を見るかのような目のまま。
「そこまで言うなら…上靴舐めなよ?‪w」
そう言いながら、上靴を顔に近づけてきた。
「舐めたら、親友になれるかもよ〜?ハハハッ!」
私は、ただ…ちょっと前の仲に戻りたい。

私か何をしたのかは分からない。
でも、それをして元に戻れるのなら…。


今思うと、上靴を舐めようとしていた私が馬鹿馬鹿しく思えてくる。
ガンッ!!
今度は、鼻に痛みが走った。

床には、赤い液体が落ちていった。
「うっ……ううっ……」
あまりの痛みに、両手を抑えて体を丸くした。
「本当に舐めるつもりだったの?やめてよォ〜‪w  汚い女…ハハハッ!」
優衣は、視線が合うようにしゃがんでこう言った。
「私は、あんたと親友なんて思ったことは1つもないよ〜!
ずっと…幸せそうなあんたが大嫌いだったよ♡」

今度は、おでこに頭が走り…


今度は…背中。


それから…手でしょ?…足でしょ?



だんだん意識も薄れて…気がつけば夕方の光に染まるトイレに私は倒れていたのです。









その時、私は何となくわかっていた。

小さな窓から…オレンジ色の空を見つめて


今からこんな日々が続くんだなぁ。って…







覚悟を決めて…

静かに何もせずに微笑んでいましたー。

プリ小説オーディオドラマ